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今日は「冨田勲 映像音楽の世界 SOUNDS OF TOMITA」に足を運びました。
作曲家冨田勲さんがテレビ放送や映画用に作られた音楽を、
シンセを含めたオーケストラで演奏するコンサートです。

会場は東京国際フォーラム・ホールC。

指揮:藤岡幸夫
監修・司会:樋口尚文
司会:中江有里
演奏:オーケストラ・トリプティーク(コンサートマスター:三瀬俊吾)
合唱:冨田勲メモリアル合唱団
シンセサイザー:篠田元一
特別ゲスト:前川陽子
譜面作成・復元:津田賢吾、青島佳祐
企画・制作:スリーシェルズ、キョードー東京

プレコンサート:オマージュ冨田勲
齋藤久師によるアナログシンセサイザーライヴ

演奏曲目:

【手塚治虫のアニメ音楽より】
ジャングル大帝のテーマ
ビッグX
リボンの騎士 オープニングテーマ
リボンのマーチ

【NHKのための映像音楽より】
新日本紀行テーマ
きょうの料理
大河ドラマ「花の生涯」
大河ドラマ「徳川家康」
大河ドラマ「勝海舟」

【創作ダンスのための音楽】
コムポジション「愛」
オーケストラと大妻嵐山高校ダンス部との共演

【映画音楽より】
映画「ノストラダムスの大予言」組曲
(シンセサイザーソロ:篠田元一)

【特撮作品より】
「キャプテン・ウルトラ」
主題歌(前期・後期、作詞長田紀生)とBGMによる組曲形式
「マイティジャック」組曲
「マイティジャックの歌」(作詞清瀬かずほ)とBGMによる組曲形式
(樋口尚文編集の特別映像上映つき)

スリーシェルズ企画、オーケストラ・トリプティーク演奏のコンサートは
何度か足を運んでいますが、毎回これでもかという内容やゲストによる
サーヴィス精神に唸らされております。
今回もすごく豪華。
指揮の藤岡幸夫さんはなんといっても吉松隆氏の作曲作品の初演や録音が
印象的でしょうか。
現在関西フィルハーモニー管弦楽団の主席指揮者の地位にあるそうですね。
監修・司会が映画監督・評論家の樋口尚文氏。
司会にかつてアイドル女優で今は作家、
コメンテーターとして活躍する中江有里さん。
さらにゲスト歌手として「リボンの騎士」主題歌を歌った前川陽子さん。

「ジャングル大帝」では男声合唱を伴った雄大な音楽が展開。
「ビッグX」は児童合唱の元気のよい歌声が魅力的。
「リボンの騎士」ではオリジナルを歌われた前川陽子さんが主題歌熱唱。
ちなみにオープニングテーマは一般的な王子編でした。

誰もが知っているであろう「新日本紀行」のテーマ、
マリンバが活躍するかわいらしい「きょうの料理」、
重厚な大河ドラマの音楽を経て、
コムポジション「愛」ではオーケストラ前の舞台での、
オケをバックにダンスで躍動する女子高生の皆さんの、
溌剌とした肢体に目を見張りました。
あ、変な意味ではなく。
どうも年とると、子供の元気な歌声や若者の溌剌とした動きに、
エナジーを分けてもらっているような気がします。

「ノストラダムスの大予言」の音楽は元はシンセサイザーオンリーでしたが、
今回はシンセソロにオーケストラと合唱団が加わるという、豪華仕様。
本当は映画の通り岸田今日子さんのナレーションが欲しかったところですが、
こればっかりは仕方ありませんよね。
シンセの音が出ないハプニングがあったものの、
豪華な仕様でサントラよりゴージャスなサウンドが素晴らしい。

「キャプテン・ウルトラ」はもうノリノリなサウンド。
男声合唱の主題歌に児童合唱の「スリー・ツー・ワン・ゼロ!」の掛け声。
最後は「宇宙マーチ」の合唱でシメ。
ちなみに指揮者の藤岡幸夫さんは、
アカネ隊員役の城野ゆきさんがお好きだったとのこと。
わかるー。
あの頃はぼくも含めて、みんなアカネ隊員とアンヌ隊員が
大好きだったのではなかろうか。

「マイティジャック」では第一話「パリに消えた男」の
ダイジェスト上映に生演奏を重ね、大迫力。
そもそも「マイティジャック」はテレビ番組なので、
当然ながらでかいスクリーンで観るのは初めての経験なわけで、興奮しました。
演奏前ですが、司会の樋口さんが「失神しないように」とおっしゃりながら
去っていったのには笑いました。

アンコールとして、恒例全員合唱「マイティジャックの歌」。
前川陽子さんやダンス部のJKも加わり、お客さんも歌ってもよいとのこと。
わたしは恥ずかしくて立てませんでしたが、おじさんがチラホラと立ち上がり、
嬉しそうに歌っていました。
後ろを見れば、立って見守っていた企画の西耕一さんが、
声を張り上げて歌っていらっしゃいました。
みんな熱い。



最後はこれも恒例の撮影会。
今回席が後ろで綺麗に撮れなかったのが残念。



ホールにはなぜか総理夫人の花が。

会場には手塚治虫先生の御息女手塚るみ子さんや、
「マイティジャック」大好きな庵野秀明監督、さらに樋口真嗣監督、中野昭慶監督、
漫画家のヤマザキマリ先生と、いろいろ縁の方々のお姿も。
あとで知ったけど、出渕裕氏、ゆうきまさみ先生、とり・みき先生、佐伯日菜子さん、
渡辺宙明先生とお孫さんのマコプリさん、河崎実監督、竹田えりさん(ミリア!)、
開田裕治氏あやさんご夫妻もいらしていたらしい。



会場限定発売の「マイティジャック」3枚組CDをお土産に家路につきました。
いやあ物販コーナー長蛇の列で限定300枚のCDが手に入らないかもとひやひやでした。
ちなみに帰り際みたら完売とのこと。

開場前と物販でずいぶん並んではなから疲れましたが、
コンサートが終わってみれば心地よい疲労にかわりました。
いやあ楽しかった。

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「可愛い女の子に攻略されるのは好きですか?3」
天乃聖樹著
GA文庫
2018年発行

さてさて、ひょんなことから南条姫沙とラブラブなのではないかと、
父親に疑惑をもたれてしまった北御門帝。
なんとか切り抜けますが。
あいかわらず父子の会話がおかしい。
「帝……お前は……○○なのだな?」
「心配しないでくれ、父さん。俺は○○だ」
「澄んだ瞳だ……非○○の瞳ではない……。嘘はついておらぬようだな」
○○の中は想像してねっ(笑
なにせ北御門と南条両家は日本の光と影、宿敵同士。
恋愛関係に陥るなどもってのほか。
それでも信用しきれない父親は、
帝のクラスメイト瓦屋木影に命じふたりを監視させます。
それに感づいたふたりは仲の悪いふりをして木影にみせつけようとするのでした。
さらに木影の目の届かない洋上でデートをするふたりですが、木影もさるもの…。
そして、あえて木影の監視を意識した上でのプレイ…、
いや行動を起こすのが姫沙の妹美月であり帝の許婚の静川凛花。
そして物語はクライマックスの面白すぎる展開へ―。

そんなわけで、今回も波乱万丈楽しさ満点。
終盤エピソードでの姫沙がかわいすぎ。
いやあごちそうさまです。
ごちそうさまといえば、口絵イラストの衝撃的なカットもごちそうさま。

さあ、今後は帝と姫沙のガチな恋愛ゲームに、凛花や美月ばかりではなく、
木影まで参戦しそうな模様。

次巻はなんと帝と凛花のふたりだけの旅行が決行されるらしい。
どうする、どう動く、姫沙!
楽しみ!

09/14|Book(青春・恋愛・ラブコメ)コメント(0)トラックバック(0)TOP↑

「29とJK 5~消えない模様~」
裕時悠示著
GA文庫
2018年発行

アルカディアグループのCEO、アルカンフェルによってクビを宣告された槍羽鋭ニ。
理由は真織との淫行疑惑。
アルカディアとライバル会社グローバルとの合同センターを設立し、
リストラを食い止めたい鋭ニにとって、大変なピンチ。
さあ、起死回生の手はあるのか―。

鋭ニと親友の銀行屋剣野とのわだかまり、その間に立つ沙樹の苦悩、
リストラ対象とされた課長の絶望、学校に行けない真織と、それを心配する花恋。
登場人物たちの様々な思惑が入り乱れるなか、社畜の鋭ニが戦います。

職場のピンチに鋭ニと花恋のラブコメはお預け模様ですが、
苦難に敢然と挑戦する主人公の姿は相変わらずすがすがしい。
そして戦う社畜の強さの源はJK。
今回も大満足の面白さでした。
ちなみに、今回の気になるキーワードは「帝王」です(笑
キーワードっていっても、キーになる(気になる)ワードって意味だけどね。

ところで、もうすぐ主人公は三十歳になるんですけどね、
このタイトルで続くのかな?
Gメン'75方式?

09/13|Book(青春・恋愛・ラブコメ)コメント(0)トラックバック(0)TOP↑

「賢者タイムが終わらない。」
枕木みる太著
電撃文庫
2018年発行

「賢者タイム」って…これで初めて知りましたよ。

え、どんな意味かって?
恥ずかしいから、ここでは書けませんよ。
知りたかったら、ご自分で調べるか、ぼくんとこ来て耳打ちさせてくださいよ。
というか、すでにみなさん知っていますよね。

さて、本書はその賢者タイムがテーマのめちゃくちゃ面白い作品です。

主人公は遊川賢太、えっちなラノベを書いてる高校生。
なかなかエロくておかしなラノベを書いているようですが、
詰めが甘く、出版には今ひとつ届きません。
でも某レーベルの担当さんは彼のエロさをとても買っているのです。
そんなわけで、ひとりで書けない彼は(ちなみに彼は一人暮らし)
真向かいの団地に住んでいる幼馴染の石黒双葉(実は彼女も小説を書いている)を
呼んで一緒に書こうとしますが、服装に頓着せず、独りよがりで、
しかもえっちな独り言を言う賢太に彼女は怒って帰ってしまいます。
そんなある時、担当さんから短編集を出さないかとの提案がきて、
短い作品ならと順調に書き続ける賢太なのですが、
ある時お向かいさんの窓の中に幼馴染の恥ずかしい姿を見てしまうのです。
どんな?って訊かないでくださいね。
恥ずかしくて説明できないから。
どうしても知りたかったら、本書を買うか、(以下略)。
で、目撃したことに興奮した彼は、思わず(略)してしまうのです、何度も。
その結果大変なことが起こります。
賢者タイムへの突入―。
なんと彼はエロいことが考えられなくなってしまいます。
さあドースル原稿!
しかも彼の状態は日に日にひどくなり、やがてスーパー賢者タイムへと進み、
その結果見た目も嗜好も変わってしまい、なんと学校でモテモテに!
原稿はどうなるんだあ!
作家デビューはできるのか?

彼の書いたエロい作品の一部がいくつか紹介されてますが、どれも面白いんですよ。
作者さんにはいつかそっちも書いてほしいくらいです。

幼馴染の双葉のほか、彼とアオハル(意味わかりますよね)をしたがる
図書委員の早川さん、詳しく説明するとネタバレが心配だから適当に書きますが、
クラスメイトのうた、謎の美少女神宮寺さんといった女性陣に、
賢太のことを心配する親友の成田、エロラノベへの熱意が半端じゃなく、
「ちょっとでもズボンが膨らんだら、キープだ」などと
社内でセクハラまがいの発言を平気でする賢太の担当編集者佐藤がからみ、
エロに対する興味がなくなり、仙人か哲学者のように変貌していく男の悲哀と、
そのかわりモテるようになっていく皮肉な運命が、
面白おかしく描かれていきます。

最後の展開に読者は怒るか呆れるか面白がるか、どれかでしょう。
そんなに長い小説ではないけれど、一気に読んじゃう面白さです。

牡丹もちとさんのイラストが、また妙な魅力があります。
特に冒頭のカラー口絵イラストのシュールさはものすごいインパクト。
ラノベ読む方は多分口絵から先に見るでしょうが、
このイラストの魅力で本書の世界に即引きずり込まれることでしょう。
くわばらくわばら。

09/09|Book(青春・恋愛・ラブコメ)コメント(0)トラックバック(0)TOP↑

「JK堕としの名を持つ男、柏木の王道」
永菜葉一著
角川スニーカー文庫
2018年発行

超人的なジャパニーズ社畜が大活躍する物語です。
破天荒すぎる設定と、人間離れした社畜の行動と精神は、
世の社畜たちの羨望と賞賛を浴びるでしょう←そうか?

有栖川姫乃は有栖川グループのトップの社長令嬢。
女子高校生ですが、父親に聖ルルド学園への転入を命じられます。
聖ルルド学園てのはなんと絶海の孤島に建てられていて、
没落寸前の資産家の子供達が通っています。
そこの生徒にはルルドコインと呼ばれる金貨が支給され、
学園ではそれを巡って死のギャンブルが行われています。
卒業時に一枚一億円に相当する金貨をたくさん集めれば、家を立て直すことが可能。
逆に金貨を失えば罰ゲームを受け死の可能性があります。
さて、有栖川家は没落していないのですが、学園の悪行を知った父親が怒り、
娘を潜入させるため株を売り払い、自分の企業をわざと没落寸前にまで
追い込んだのです!
めちゃくちゃです(笑
そんなわけで学園にやってきた姫乃ですが、
いきなり久遠寺玲花の仕掛けたイカサマ勝負により罰ゲームを受け、
チェーンソーが姫乃の股関を襲います。
そんな彼女の危機を救ったのが空から飛び込んできた柏木啓介28歳。
有栖川グループ本社付き特別危機管理対策室主任、簡単にいうと社畜です。
彼の人間離れした活躍により助けられた姫乃。
以後柏木、いや社畜は姫乃の身を守るため彼女の寮に一緒に住み、
授業中もクラスメイトの暴力から彼女を守り、
球技大会ではバットの代わりにもなります。
だって彼の立場は学園で認められている所有物だから(笑
やがて彼らは学園を仕切る生徒会や理事評議会を叩き潰さんと行動するのですが―。

なんといっても柏木いや社畜がすごいです。
卓抜な戦闘能力を有し、刺されても爆発の巻き添えをくっても、
不死鳥のように蘇り戦い続けます。
だって社畜だから(笑
「24時間働けますか」←有名なコマーシャルは
たしか「24時間戦えますか」だったけど、それはそれ、
とか「社畜を殺せるのは過労だけ」とか、
しれっと恐ろしいセリフが飛び交い笑うに笑えませんが、
社畜柏木のスーパーヒーローぶりを描いた物語は、
ある意味社畜の理想と現実と夢と野望を最大限にデフォルメした
寓話といえるでしょう。

めちゃくちゃだけど面白さ抜群です。
ちなみに柏木のコードネームはJK堕とし。
姫乃をはじめ、彼と関わる女子高生は次々に彼に惚れることになってしまいます。

夢じゃ、夢じゃ、夢でござるう。
社畜ならみんな彼と同じことが出来るとか宣いますが、冗談じゃありません(笑
まあ、世のサラリーマン諸氏もひとときの夢に現実を忘れ楽しむのもいいでしょう。
戦いはまだこれから。
続編希望です。

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「元年春之祭」
陸秋槎著
稲村文吾訳
早川書房
2018年発行

金沢在住の中国人作家、陸秋槎氏の長編本格ミステリが、
なんとハヤカワ・ポケミスで登場しました。

原書には「巫女主義殺人事件」という、
本書の根幹を成す重要なテーマを示す副題が付いていたようです。
なおタイトルの「元年春之祭」は「春秋」という歴史書の冒頭と、
ストラヴィンスキー「春の祭典」を組み合わせたと、
著者あとがきに書かれています。

天漢元年(紀元前100年)の中国。
観一族の祭儀のため、滞在していた豪族の娘於陵葵は、
知り合ったばかりの観露申から、
4年前に起こった彼女の伯父一家惨殺事件の詳細を聞き興味を持ちます。
しかし、なんということか、於陵葵の逗留中に、
再び連続殺人事件の幕が開くのでした―。

中国における古典文献や宗教関係のペダンティックな知識が
ふんだんに織り込まれて、現代の日本人からすると、
読みづらい点があります。
その部分は読み飛ばす―のはまずいのでしが、斜め読みしても良いでしょう。
ミステリとしての流れに関連していないとも言えないので(笑
読者への挑戦が二度も組み込まれる本格仕様です。

観家の主人に頼まれ、事件の調査をする於陵葵は、
若く不遜なところもある少女ですが、博覧強記、
頭脳明晰で探偵役にふさわしい存在です。
対する観露申は比べるとおとなしめで、SとMのような対比がなされています。
さらに於陵葵の侍女である小休という、主人に尽くしまくる少女も含め、
そこはかとない百合フレーバーが漂います。

そんなキャラクターたちの魅力も素敵なのですが、
なんといっても殺人事件の驚嘆すべき犯罪動機は前代未聞。
正直現代の日本人からすると、理解しにくいでしょう。
しかしロジカルなトリックは素晴らしく、日本の新本格の影響を受け、
日本の現代ミステリに精通している著者の面目躍如たる出来映えです。
特に真相一歩手前の推理など、新本格テイストたっぷりで唸りたくなりました。

とはいうものの、本書の魅力はトリックや犯罪動機ばかりではなく、
いや、むしろせつなく悲しい物語の描かれ方にこそあるように思います。
つまりは読後感は満足いっぱいなのであります。
今度は著者の現代ものも読んでみたい。
これからもご執筆ならびに翻訳紹介されることを切に望みます。

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「メーラーデーモンの戦慄」
早坂吝著
講談社ノベルス
2018年発行

援交探偵上木らいちシリーズ最新作です。

前作でらいちによる謎の解明とともに、
ものすごいトラウマを抱えることになってしまった藍川刑事。
そりゃね、記憶ない時代とはいえ、あんなひどくてきもい事実があっちゃね(笑
警察に辞表を出すも慰留され、とりあえず休暇をとることになります。
そこで「自分隠しの旅」をすすめる男と出会い、
青の館に逗留することに。
そこには仮面で顔を隠した数人の客がいて―。
一方、世間ではメーラーデーモンを名乗る人物から死のメールを受け取った
ガラケー所有者が連続して殺される事件が起き、
上木らいちがその事件に関わっていきます―。

後半、青の館のメンバーによる事件の謎解きが始まり、
多重推理ものの形式になります。
最終的に藍川とらいちにより事件は解明されますが、
犯人により語られる動機はいかにも現代的で、
次々と現代社会の新しい文化をネタにしている著者らしいもの。

現代社会への皮肉と警鐘に満ちており、
SNSに支配された現代人への皮肉が含まれている点、
現代人として楽しく読ませていただきました。
最後に本書タイトルが回収される場面では吹き出しました。

相変わらずのエロミスぶりも健在。
青の館は「虹の歯ブラシ 上木らいち発散」に登場した場所ですが、
過去作品の登場人物がずらっと顔を揃えるオールスター?作品。
おかげで過去作引っぱり出してきて、いちいち確認しちゃったじゃないの。
さらに早坂吝先生ご本人も特別出演のサービスぶり。

相変わらずの面白さでした。

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季刊ステレオサウンド誌の208号が発売されました。

今号の特集は読み応えある素晴らしいものですが、
その前にさらに素晴らしい新連載のことを申し上げたいです。

頁をめくっていて、思わず、おおっ!と声をあげたのが「オーディオファイル訪問記」。
ステサンの熱心な読者なら、かつて菅野沖彦氏が担当していた
「レコード演奏家訪問」を覚えていらっしゃるでしょう。
菅野さんの現状は気になるところですが、とりあえずステサンらしいずば抜けた
オーディオファイルを紹介していただけるコーナーが復活したことは喜ばしいです。

今回オーディオファイルを訪問するのは柳沢功力氏。
氏によると今後はリポーターの交替もありうるとのことだけど、
編集後記によると少なくとも最初の数回は柳沢氏が担当するらしい。

今回登場のオーディオファイルはソナス・ファベールの巨大スピーカー、
ザ・ソナス・ファベールの音に惚れ込み、なんとこのスピーカーに合わせた
オーディオルームまで作ってしまったという、すごい方。
しかもストラディヴァリ・オマージュもお持ちで奥様が使っておられるとのこと。
写真みると、家広そうですごいなー。

特集ですが、特集1が「続・オーディオ評論家の音」
特集2は「総額100万円/150万円で組むベストサウンドシステム」
2の方はあまり興味がないので省略します(笑。

「続・オーディオ評論家の音」は以前の特集の続編。
評論家が評論家の家のシステムを聴くという趣向です。
その以前の特集は195号で、なんと3年前らしい。
もうそんな経ちますか。

さて今回は、黛健司氏が傅信幸氏を、傅信幸氏が宮下博氏を、
宮下博氏が山本浩司氏を、山本浩司氏が黛健司氏をそれぞれ訪問。
時に昔話も交えながら、システムや音の印象を皆さん報告しております。
こういう特集大好き。

他に連載等も好評継続中ではあるけど、本号では先に述べた訪問記復活が
何といってもインパクト大きく、読後の印象を独り占めしてしまいました。

次回209号は年末発売、恒例のステレオサウンドグランプリです。

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「鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース」
島田荘司著
新潮社
2018年発行

島田荘司氏の御手洗潔ものの新作です。

サンタクロース!
クリスマスプレゼント!
この本の大きなテーマであります。
本書に登場するある人物はそれに縁がなく、
だからこそ同じ境遇のある少女のためにプレゼントをあげたいと願います。
これを読んでいて思い出しました。
わたしもでした。
もっともクリスマスというのは日本ではお正月と近い時期ですから、
両方のお祝いというのは贅沢ですね。
いや、そう思い込んでいるわたしでした。
本当は一度だけ、なんだか忘れましたが、
クリスマスの朝枕元に置いてあったことあるんですよ。
でもそれは父親が会社関係のパーティーのくじ引き大会みたいな趣向で
もらったものだったと思います。
その一度だけ。
まあうち煙突ないしね。

本書は1975年の京都が舞台なので、石岡くんは登場しません。
かわりに予備校生のサトルくんが御手洗さんと一緒に行動します。
「進々堂世界一周 追憶のカシュガル」に出てきたあの少年です。

東京オリンピック(前のね)の頃、京都である密室殺人事件が起こります。
一階で女性が死んでおり、二階にはその女性の子供が寝ていました。
枕元にはクリスマスプレゼントが!
密室状態で誰がどうやって殺人を遂行したのか。
何者が少女にプレゼントを残したのか。
さらにある喫茶店の止まっている時計が動きだす謎。
当時事件現場付近で頻発して起こった不眠症や夫婦喧嘩、
位牌が動いて背中を向ける怪現象はなぜ起きたのか。

ひょんなことから過去の不可思議な事件を知った御手洗潔が真相を解きほぐします。
京都の地形、東京オリンピック当時の世相も絡め、
事件の裏にある悲しい物語は涙を誘います。

すっとんきょうな謎の数々が論理的に収束する真相は、
最近の御手洗シリーズではかなりよく出来ており、傑作と思いました。
この密室は素晴らしい。
実は五味康祐氏のエッセイに書かれた、
ある出来事を思い起こしましたが、ネタバレになるので控えます(笑
また男女間における生々しい描写は島荘ならでは。

相変わらず、ミステリとしての楽しさと、
人間ドラマの感動を絡み合わせるのが上手い作家さんであります。

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「帝都探偵大戦」
芦辺拓著
東京創元社
2018年発行

そのむかし。
わたしが中学生か高校生の頃でしたか、
藤原宰太郎氏の書いた「世界の名探偵50人」という、
推理小説の入門書がありました。
その名の通り、世界中の名探偵が50人紹介されているのですが、
問題は海外ミステリの有名な作品の犯人が書かれている頁があり、
そのおかげで、その後大変困っちゃいました(笑

まあ、氏は自身の書いた推理小説のなかでも、
エラリー・クイーンなどの著名作のトリックをバラしちゃっていましたし、
あまり頓着しない方だったのでしょう。
ネタバレがいけないという概念も、特にない時代ではありました。

なぜそんなことを思い出したかというと、
本書「帝都探偵大戦」には日本の名探偵が50人登場するからです!
あんまり関係ないお話でしたね。
でも思い出しちゃったから(笑

さて、本書ですが、三章に分かれております。
すなわち「黎明篇」「戦前篇」「戦後篇」。

「黎明篇」では半七や銭形平次やむっつり右門、顎十郎、若さま等の、
捕物帳の人気者が、江戸の町を揺るがす怪事件の謎を解きます。

「戦前篇」では法水麟太郎や帆村荘六、獅子内俊次、藤枝真太郎、
大心池博士といった探偵達が開戦阻止のため働きます。
フルトヴェングラー伯林フィル来日の噂があったり、黒死館が再び出てきたり、
帆村荘六の事務所には妙な装置があったり、楽しさ抜群。

「戦後篇」では探偵達と共に活躍した警部たちも登場。
神津恭介他の探偵達と豪華に競演。
さらに小林少年や尾形恵美子といった少年少女探偵も一緒になって、
有名な悪党と戦います。

少年探偵が活躍するシーンでは本家のジュヴナイルに合わせ、ですます調に変えるなど、
文体上でもサービス精神いっぱいです。
めくるめく名探偵競演の楽しさはもちろんのこと、
世相による探偵たちの不遇のせつなさも描かれ、
名探偵への愛に溢れた一級のエンターテインメントに仕上がっています。
ミステリファンより名探偵ファンにお薦めしたいかも(もっとも、かなりかぶるかな)。

ところで「戦後篇」に出てくる古方善基博士のモデルは、
科学捜査の礎を築き科警研の所長を務めた古畑種基博士だろうか?

さて、名探偵やその関係者が50人も登場するものですから、
わたしも知らない名前がかなりあります。
でも大丈夫!
巻末には名探偵名鑑が付属し、本書に出てくる探偵達が解説されています。
現代は各社から珍しい探偵小説が発掘され出版されている、
大変ありがたい時代であります。
この巻末リストを参考に、未知のミステリをもっと読まなければいけないなあと、
思った次第。

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