2017年06月 / 05月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫07月

2017.01.03 (Tue)

プフィッツナーのエロイカ


Hans Pfitzner dirigiert Beethoven 3. Sinfonie
Beethoven Symphonie No.3 "Eroica"
Hans Pfitzner/Berliner Philharmoniker
Preiser 90201
1929年録音

ハンス・プフィッツナー(1869-1949)は作曲家として認識しておりましたが、
指揮者としても活躍していたのですね。

このCDは彼がベルリン・フィルを振って録音したものですが、
1929年のものとは思えない音質の良さです。
もちろん趣味人向けヒストリカルに区分されるべきものでノイズも時折混じりますが、
細かいこと気にしなければ十分に楽しめます。
もうひとつびっくりしたことに、かなり個性的な演奏でした。

第1楽章の冒頭、息の長い二大強音のあと、すぐに幾分テンポを落とします。
その後主題が終わるときにリタルダンドをかけるなど、緩急自在ではありますが、
基本は主題は遅く、経過句は速くの古くさいともいえる表現であります。
つまり、わたしの大好きなタイプの演奏です。

第2楽章はおそらくかなり感動的な演奏なのではないかと想像します。
というのは、このような曲調だと、さすがに録音の古さによる情報量の不足が影響し、
細かいニュアンスが感じ取れないためですが、葬送行進曲を遅いテンポで
情緒纏綿に描いております。

第3楽章はなんということはなく普通に通り過ぎますが、終楽章では遅いテンポを基本に
テンポのゆれやためが頻出します。
基本テンポの遅さは特筆すべきで、クナッパーツブッシュ級ではなかろうか。
あんなに重くはないけど。
ただ、最後がおとなしく終わるので、そこだけはちょっと物足りなさを感じるのでした。

とにもかくにも、まるで個性的演奏の教科書のような演奏でした。
スポンサーサイト
08:49  |  CD(クラシック)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2015.12.28 (Mon)

山瀬理桜の叙情的名演にうっとり


フィヨルドの夏の夜
山瀬理桜(ヴァイオリン)
山瀬理々香(ピアノ)
浦野亜弓(フルート、14曲目のみ)
ART UNION ART-3065
2001年発売

山瀬理桜(やませりお)さんはヴァイオリニスト&ハルダンゲルヴァイオリニスト。

このアルバムでは通常のヴァイオリンで演奏されてますが、
彼女はアジアで唯一人認められた
ノルウェーの国民的楽器ハルダンゲルヴァイオリニストで
日本ハルダンゲルクラブの理事長とのこと。

ヴァイオリンは故江藤俊哉、アンジェラご夫妻に師事されたそうで、
このアルバムにもお二人の推薦文が書かれています。
またピアノを弾いている山瀬理々香さんは理桜さんのお姉さん。



とにもかくにも美しい音色、良いも悪いも女性的に聴こえる
やわらかく線の細いヴァイオリンです。
選ばれているのがロマンティックな曲ばかりなので、もう夢見心地です。

伴奏のピアノもヴァイオリンを引き立て、姉妹ならではの息のあったところを見せます。

なおヤーネフェルトの子守歌ですが、この曲は知りませんでしたが、
とても素敵な叙情的なメロディを山瀬さんがまたこれ以上ないほど叙情的に奏でてます。

これはもうハルダンゲルヴァイオリンの方も聴いてみたい!
09:08  |  CD(クラシック)  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2015.11.22 (Sun)

ディノラ・ヴァルシのBox Set



先日Amazon様からものすっごくおっきくて重い箱が届きました。
まるでオーディオ機器が入ってるかのような箱を開けてみたら、
以前注文していたディノラ・ヴァルシのボックス・セット“Legacy”でした。
てっきりCDの大きさでぶ厚い普通のボックス・セットだとばかり思っていたのです。
実際はLPレコードを厚くしたような形状で、オペラのレコードでもこれだけ厚いのは
ワグナーの「ニーベルングの指輪」くらいではないでしょうか。



ちなみにこのボックス、3キロらしいです。
厚さは45ミリくらい。
でも、このような、おっきなボックスもたまに見かけますね。
チョン・キョンファや中村紘子のを見かけたことあります。

さて、ディノラ・ヴァルシDinorah Varsiはウルグアイのピアニストですが、
惜しくも2013年に亡くなりました。
個性的で内容のある素晴らしい演奏家で、わたしの好きなピアニストのひとりです。
彼女の特異で素敵なショパン「別れの曲」については以前書いたことがありますが(→コチラ)、
なにしろディスクがなかなか手に入らない。
わたしは5枚くらい所有しておりますが、他にもいろいろ録音があるという話なので、
何とか手に入れたいと長い間探し回っていたところです。
現状入手しやすいのはメンデルスゾーンの協奏曲とか、
ヴァイオリニストの伴奏ものくらいでしょうか。
ですから、このボックスの登場はまことに慶事であります。



ボックスの中味ですが、CDが35枚、DVDが5枚入っております。
さらに112頁もある素敵なブックレット。
収録曲目はタワレコさんのコチラをご参照ください。

ただ、ボックスもので問題なのは、ミスが結構あるのですよね。
一部ノイズが混ざっていたり、中味とブックレットの曲順が違っていたり、
同曲異演奏のはずが同じ演奏がかぶっていたり。
わたしの経験ではベームの指輪全曲の廉価版ボックス・セットにおいて、
「11」枚目のかわりに「1」が入ってて…
つまり同じ「1」が2枚かぶってたことがありました。
もちろんちゃんとしたメーカーの場合は後日正しいものを製作し取り替えてもらえるし、
タワレコさんみたいな大手の店舗は情報さえあればちゃんと告知してくれるので、
購入したあともたまにはお店をチェックする必要があります。

もうひとつの問題は値段ですね。
たとえばこのボックスは13000~14000円ちょっとで円盤40枚ですから、
一枚単価はかなり安いと思います。ボックスはいっぱい入ってて安いという印象で、最近流行りなのですが、
聴きたい部分がわずかの場合は単価高くても単発で購入したほうが
ずっと安いこともあるので、注意が必要です。

ついでにいうと、あとで聴き直すとき、
当該盤を引き出すのが手間で扱いずらいのも難点であります。
あと、どこにしまっておこうかという問題も。

とはいうものの、この“Legacy”は個人的には今まで追い求めて手に入らなかった、
あるいは存在すら知らなかった音源が宝の山状態で、うほほです。
ゴージャスとはこのセットのことをいうのだと思います。

ただ、ほんというと、インタビューだけの1枚はいらないな、というのと、
映像ものは違うセットにしてほしかったな、という思いはあります。

でもそれは贅沢というもの。
まだ全然聴いてませんが、近々少しずつ少しずつ楽しみたいと思っています。
08:00  |  CD(クラシック)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2015.05.05 (Tue)

Hsin-Lin Tsaiリサイタル盤


Hsin-Lin Tsai Recital
Hsin-Lin Tsai:Violin
Joy Cline Phinney:Piano
RTVE 65288
2007年発売

Hsin-Lin Tsaiは台湾生まれのヴァイオリニストで、このアルバムは2006年に
スペインのコンサートホールで行われたリサイタルの記録です。



モーツァルトのK.304のソナタは短くも美しくわたしの大好きな曲ですが、
実はモーツァルトの他のヴァイオリンソナタをよく知りません(笑
この演奏はライヴならではというべきか(ブックレットには未編集とあります)
テンションの高さがこの曲に似つかわしくない気がします。
モーツァルトのヴァイオリンソナタはピアノ学習者のための曲で
ヴァイオリンは伴奏である“ヴァイオリンのオブリガート付きピアノソナタ ”
だといわれますが、この演奏はヴァイオリンが出張りすぎであるがゆえに、
逆に控えめでありながらピアノの美しさが際立って聴こえる結果となっており
面白いです。

それに比べるとベートーヴェンは彼女のダイナミックな演奏に合っています。
プログラムが進むにつれ、彼女のパッションが良い効果を生み、魅力全開となります。
プログラムの構成が巧いかも。

その意味でプーランクなどとても魅力的です。

最後の2曲はおそらくアンコールなのか、うってかわって歌わせる曲を持ってきて、
聴衆を魅了したようです(時折聞こえる鼻息だか吐息だかがまたチャーミングで…)。
10:06  |  CD(クラシック)  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2015.02.14 (Sat)

コーツのロシア物


Albert Coates Conducts-Volume 1:Russian Favorites
Albert Coates,The London Symphony Orchestra
KOCH HISTORIC 3-7700-2H1
1992年発売

アルバート・コーツ(1882-1953)といえば、
ホロヴィッツとのラフマニノフのピアノ協奏曲3番とか
ルービンシュタインとのブラームスのピアノ協奏曲2番の
伴奏指揮者として知ってはいたけれど、協奏曲だと指揮者の特徴はわかりにくく、
このCDで素オケものを聴いて、なかなか個性的な指揮者だったのだなあと
今更ながら思ったのでした。



このCDは彼がロンドン交響楽団を振って録音したロシア物の曲を集めています。
ただし1928,1929,1930,1932年とかなり大昔の録音で音質は時代なりです。

コーツはロシア系イギリス人。
サンクトペテルブルグに生まれてますが、指揮者としての活動のほとんどが
イギリスのためか、その音楽作りにロシアンな香りはほとんど感じません。

印象的だったのが「ルスランとリュドミラ」序曲。
その後のムラヴィンスキーの録音を思い出させる超快速調で気持ちよいです。

「スラヴ行進曲」はテンポのゆらしが多く、いかにも古くさい表現ですが、
逆に芝居っ気たっぷりで楽しいです。

どの曲もロシア的ではないロシア物だけど、録音の古さを気にせず
聴き入ってしまいました。

これ、Vol.1となっているけど、当時2はなぜ買わなかったんだろうなあ…。
11:54  |  CD(クラシック)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2015.01.02 (Fri)

妖精伝説


竹松舞/妖精伝説
日本コロムビア COCO80793
1998年発売

1.朝に(トゥルニエ)
2.主よ人の望みの喜びよ(バッハ)
3.白鳥(サン=サーンス)
4.サラバンド~無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番より(バッハ)
5.レジェンド〈妖精伝説〉(ルニエ)
6.ピュア(竹松舞)
7.ノルウェイの森*(ビートルズ)
8.エンジェル*(エアロスミス)
9.イマジン**(ジョン・レノン)

竹松舞(ハープ、ヴォイス**)
沢田穣治(アコースティック・ベース)*
高島正明(アコースティック・ピアノ、ローズ)*
岡部洋一(パーカッション)*
ハーピスト竹松舞さんのセカンド・アルバム。



妖精伝説とはよくつけたなあ。
まさしく妖精だなあ…。
と思ったら、5曲目に「妖精伝説」って曲が入ってますね。
英語タイトルもこの曲のものですね。
それでも、製作側は絶対彼女の可憐さから、
タイトルを妖精伝説に決めたと思うのです。

立派なクラシック音楽のアルバム(一部ロックの曲も演奏されてますが)なので、
妖精の話はもうよーせー(妖精)てことで、中身について。

後半のロック以外はハープのみで演奏されます。
曖昧さのないきりっとした音色はバッハに合うなあと思いました。
定番「白鳥」はゆっくりしたテンポで淡々と奏され、標題音楽的な部分を忘れそうです。
「妖精伝説」は詩をもとにしているだけあって、やたら物語性があって、
ハープのみで情景を語ります。
とてもモダンな曲と思いました。
しかし長いです。
「ピュア」は竹松舞さん自身の曲。
短く、まさしくピュアな印象の曲。
ちょっとはかないところも良いです。
「イマジン」では語りが入っちゃいます。
弾き語りです。
多分歌詞だと思います。
妖精の声が聞けます。

このアルバム録音時は17歳だと思われますが、その後医学部を卒業し、
医師でもあられるようで、多彩な活躍をなさってるようです。
10:26  |  CD(クラシック)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2014.10.04 (Sat)

榎本玲奈の「In a Landscape~ある風景のなかで」


榎本玲奈/In a Landscape~ある風景のなかで
榎本玲奈(ピアノ)
Belta Record YZBL-1040
2014年発売

グラハム・フィトキン
1.やすらぎ*
松かさをあつめる者たち*
2.Part 1
3.Part 2
4.Part 3
5.激烈な*
佐藤聰明
6.コラール
ジョン・ケージ
7.ある風景のなかで
エリッキ=スヴェン・トゥール
ピアノ・ソナタ*
8.Ⅰ
9.Ⅱ
10.Ⅲ
*日本初録音



いわゆる現代音楽。
わたしはこの手の音楽はわからないのでまず聴きませんが、
このアルバムは難解な現代音楽というより、こう表現してよいかわかりませんが、
むしろヒーリング・ミュージックを聴いてるような感覚を持ちました。

榎本玲奈さんのピアノは激しいけど重くなく、心地よい音のリズムが波紋のように
聴き手まで徐々に静かに広がってきて、包み込みます。
ジャケットの水のなかに立っている榎本さんの写真が
音楽に合ったイメージによく出来ていて、ちょうどこの写真の水の波紋のように
音楽が榎本さんのピアノから放たれ、再生機を通して静かに着実に
われわれの耳に届きます。
録音が良いためもあるでしょうが、残響がとても美しい。

作曲家たちの境遇や思想は知りませんし、曲の内容に関してはなにも述べられませんが、
どの曲も音楽だけを聴く限りでは気持ちいいのです。
もちろん普通に現代音楽なので、綺麗な耳やさしいメロディーが
聴けるわけではありませんが、この美しくリリカルな世界はとても魅力的です。

心を落ち着かせたいときには良い特効薬かもしれません。
わたしの場合、寝る前に聴くとおだやかな気持ちになります。
10:57  |  CD(クラシック)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2014.08.14 (Thu)

ペドロとロボ


Serguei Prokofiev: PEDRO Y EL LOBO
Vasily Petrenko,Ensemble Orquestra de Cadaques
Narrado por Leonor Watling
TRITO TD0045
2008年発売

プロコフィエフの作曲した「ピーターと狼」は
子供に楽器のことを教える教材として使われるため、
ナレーションが付きますが、もちろん各国による録音が存し、
日本語ナレーション以外は言葉はわからないながら、なかなか興味深いです。

ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」も同傾向のため、
この2曲はかつてレコード時代はカップリングされることが多かったと思います。

さて、このCDはスペインのレーベルのため、カスティリャ語(スペイン標準語らしい)の
ナレーションが付いてます。
ナレーターはレオノール・ワトリング、ジャケットに写ってる
1975年生まれのスペインの女優さん。
映画ではセクシーな役柄の多い綺麗な女優さんです。

指揮はロシアのワシリー・ペトレンコ。
オケはスペインのカダケス管弦楽団アンサンブル。

27分ほどの曲なのに、これ1曲だけ収録の贅沢盤です。

スペイン語なので、タイトルは「ピーターと狼」ならぬ「ペドロとロボ」であります。
「狼王ロボ」を思い出しますね(笑

レオノール・ワトリングの毅然とした立派なナレーションをバックに、
ペトレンコの指揮するアンサンブルはここぞというときに激しさをみせる
切れ味の良い演奏で魅力的です。





ブックレットがとってもかわゆい。
11:45  |  CD(クラシック)  |  TB(0)  |  EDIT  |  Top↑

2014.07.26 (Sat)

ニーナ・コトワのバッハ無伴奏チェロ組曲


Nina Kotova/Bach:The Cello Suites
Warner Classics 0825646394111
2014年発売

ロシア生まれの美人チェリスト、ニーナ・コトワのバッハ無伴奏チェロ組曲全曲、
2枚組CDであります。

コトワさんは昔モデルさんをなさっていたそうで、大変な美人です。

わたしはバッハがよくわからないので、
この演奏の内容についてはなんとも判断できません。

その代わり特筆したいのは録音の良さ。
チェロの低音がスピーカーにまったくまとわりつかず、嫌な響きは一切出さず、
清澄な響きが聴けます。
もちろん音が細いわけではなく、グラマラスなのに煩くない。

知らず知らずのうちに心地よい世界に引き込まれてしまいます。
そして、それは録音の良さによるためだけではなく、
彼女の演奏が素晴らしいからでしょう。おそらく。

チェロの魅力が十二分に楽しめるアルバムだと思います。
10:51  |  CD(クラシック)  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2014.06.28 (Sat)

美しく激しき葬送


FREDERIC CHOPIN:Sonata No.2,4 Mazurkas,4 Impromptus
LAURE FAVRE-KAHN,piano
TRANSART TR173
2014年発売

ショパン作曲
ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調Op.35「葬送」
4つのマズルカOp.33
即興曲第1番変イ長調Op.29
即興曲第2番嬰ヘ長調Op.36
即興曲第3番変ト長調Op.51
幻想即興曲Op.66
ロール・ファヴル=カーン(ピアノ)
2010年7月「ランス夏の音楽祭」におけるライヴ録音。

わたしは前にも書いた(→コレね)ように、ショパンの葬送行進曲を含む
第2ピアノソナタが苦手でありまして、できれば避けたいところですが、
美人演奏家のアルバムときてはそうはいきません。

躍進を続けるフランスの女流ピアニスト、
ロール・ファヴル=カーンの新譜でライヴ録音です。

ソナタ第2番は第一楽章の出だしからして素晴らしいです。
緩急自在なテンポで吹き抜けるさわやかな嵐のようです。
めくるめく音の乱舞に心地良くノックアウトされます。

トラウマの第三楽章は堂々とした葬送行進曲と、
トリオにおける心にしみるような叙情性の描き分けが素敵です。

ひさびさに聴き入ってしまった第2ソナタです。

マズルカやアンプロンプチュも同系統の名演で、
ラストの盛大な拍手(アンコールをおねだりしてるような)も納得です。
11:47  |  CD(クラシック)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
 | BLOGTOP |  NEXT