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2016.11.19 (Sat)

本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド


「本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド」
喜国雅彦、国樹由香著
講談社
2016年発行

雑誌メフィストに連載された作品をまとめたものです。
著者の喜国雅彦先生と国樹由香先生は漫画家のご夫婦です。
それもとても仲の良い…そのご様子は本書でも十分以上窺えます。
本書はそんなお二人の作品が交互に挟まれています。

本棚探偵こと喜国先生はミステリマニア、古本コレクターとしても有名で、
本書ではその知識をフルに生かしH-1グランプリという、
古典の本格ミステリの中からそれぞれある括りの中で数冊選び、
優勝作を決めるという試みをしています。
エッセイですが、坂東善博士と女子高生のりっちゃんのコンビの会話で出来ています。



ちなみにこのコンビは「メフィストの漫画」という、
やはり喜国/国樹先生共著の漫画集の中では漫画で登場しています。
(2005年講談社刊、12月16日講談社文庫版発売予定)
しかし喜国先生の描く女の子はかわいい。
選ばれてる翻訳が現役のものばかりではなく、
新訳版が出ているにもかかわらず大昔の翻訳が混ざってるのは、
本棚探偵の書庫の都合らしいです。
グランプリの優勝作は女子高生のりっちゃんの独自の視点で選ばれるので、
読者に異論があっても無理矢理納得させる巧みな構成です。
まあわたしなぞ、読んでる作品も内容忘れてますから、
全納得でりっちゃんかわいいなあという感想しかないのですが。
本書の喜国先生のパートは27回続くいってみれば主食たるH-1グランプリの他に、
「エンピツでなぞる美しいミステリ」(子供のころの漢字練習帳を思い出す)や、
みすをの「ほんかくだもの」(誰かのマネみたいなやつ)、
「勝手に挿絵」(日本のミステリを挿絵と簡単なストーリーで紹介している)、
ミステリのある風景(ミステリぽい写真を載せている)が前菜のように付いてます。

一方国樹先生はそんな「本棚探偵の日常」をエッセイで描いてます。いやあ喜国先生いいひと。
ほとんど怒ったことないそうです。
人見知りなとこはわたしも一緒なのに、全体ではエラい違いじゃ。
もっとも、本書発刊記念に八重洲ブックセンターで開催されたトークショーで
拝見した限りでは、とても気配りのきく、トークのうまい方という印象でした。
一部わんちゃんがらみの悲しい話もありますが、
概ね本棚探偵の面白楽しい生態が描かれてます。
一部漫画も使われてますが、国樹先生の絵がまたかわいいのです
(喜国先生とは違った意味で)。

ともかくミステリファンなら誰でも楽しめる530頁強の大著です。

ただ喜国先生のグランプリは悩ましい。
読みながら、この本買ってあったっけ、読んだかな、こんな話だったかな、
と記憶力がバブルなわたしはいちいち悩みながら時間かけて読みました。
せめて名作だけでもいつか再読したいのだけど。
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07:52  |  Book(エッセイ・その他)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2016.07.18 (Mon)

吉野朔実は本が大好き



うーん。
こないだ吉野朔実劇場最終巻である「天使は本棚に住んでいる」を読み終わり、
なんか…こう…淋しくなったというか…結局、買わないはずだった
「吉野朔実は本が大好き」も買ってしまいました。

吉野朔実劇場全8冊をまとめたALL IN ONEです。

こちらにはボーナストラックとして、未収録作品6作、
本の雑誌の企画「図書カード三万円使い放題!」、
本の雑誌の近況欄「今月書いた人」が載っています。



さすがに分厚いです(648頁)。
このシリーズ、ノンブル(ページ数)がついてないんですよね。
もともとは薄い形態だからそれもおしゃれでよかったんですが、
こう分厚くなっちゃうと、ノンブルないのはかなり不便です。
本書には掲載図書索引がついてますが、検索はまず不可能と思われます。
分厚くなったため軽装版で紙質もバラより薄いです。
まあありていにいうと読みにくいです。

しかしシリーズをバラで揃えるよりもかなりのお買い得値段です。
贅沢なことをいえば、まずバラで読んで、
後に本書でパラパラめくって楽しむのが良いと思います。
まあ吉野朔実ファンなら両方とも本棚に並べても良いのではないでしょうか。
08:56  |  Book(エッセイ・その他)  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2016.07.16 (Sat)

「吉野朔実劇場」最終巻と「本の雑誌」吉野朔実追悼特集号



今年の4月20日に亡くなった漫画家の吉野朔実先生。

本の雑誌に連載されていた本に関する漫画エッセイである吉野朔実劇場も、
もう読めないのかと思ってました。
基本雑誌の形態では読まないことにしてるので、詳細はわからないながら、
単行本に収録されてない作品もいくつか残っているだろうになあ…
と思ってましたら、このたび吉野朔実劇場の最終巻が出ました。

「天使は本棚に住んでいる」

編集部で付けたんでしょうね。
すごく良いタイトル。
でも切ないタイトル。
表紙デザインも追悼的なもので涙が出ます。
これで最後。
もう読めません。

本の雑誌の今年の6月号掲載までの分が収録されているので、
多分亡くなる直前までの分ということになるでしょう。
本の雑誌以外に掲載された作品もいくつか併録されています。

ちなみにシリーズ全8冊を1冊にまとめた、〈吉野朔実劇場ALL IN ONE〉
「吉野朔実は本が大好き」も発売されてます。
わたしは今までの持ってりから、最終巻だけ買いましたが、
総まとめ版はなんと、シリーズ未収録の6作が収録されているらしいので、
まだ1冊もお持ちじゃなくてこれから読んでみようかな、
という方にはこちらをお薦めいたします。



もうひとつ、吉野朔実劇場が掲載されていた本の雑誌8月号では、
“特集=さようなら、吉野朔実”を組んでいます。

◎冒頭カラーで吉野朔実の絵仕事「ぶ~けの時代」
イラストに懐かしいぶ~けの表紙にコミックスの表紙。
◎漫画家清原なつの先生による吉野先生の思い出「ぶ~けを遠く離れて」
◎小説家の桜庭一樹さんによる「吉野朔実のいない世界」
◎吉野朔実劇場に登場した方々による追悼文
◎アシスタントさん4人による匿名座談会
これがすごく面白い。
とくにエクソシストの話。
◎歴代担当編集者の声
◎藤本由香里さんによる「うつしあう鏡、
共鳴する夢~吉野朔実と精神分析的世界」
◎吉野朔実作品名言集
◎吉野朔実全漫画作品紹介

告白しますと、何十年ぶりかで本の雑誌を買いました。

これらの作品や追悼を手にし、あらためてもう吉野朔実先生はいないんだなあ、
と寂しさを感じています。

そうそう、吉野朔実劇場にもよく登場している吉野先生の愛犬、
コーギーのこおりくんなのですが、今年の始めに…
吉野先生よりもちょっとだけ先に亡くなったそうです。
07:04  |  Book(エッセイ・その他)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2016.05.28 (Sat)

SFのSは、ステキのS


「SFのSは、ステキのS」
池澤春菜著
早川書房
2016年発行

声優で歌手の池澤春菜さんは文筆家でもあります。

まぁお父さまが池澤夏樹氏だし、お祖父さまが福永武彦氏だし、
そういう文系の血が流れているという見方もできましょうが、
彼女の文章のセンスよさは恐らくはご自身の才能と感覚によるものだと思います。
だってブラッドラインやらDNAの理由にしちゃったら、
ここだけの話、わたしだって国文学者の伯父がいた(とうに亡くなってるから
カコケー)のにこんな下手くそな文章を書いている理由がつきませんともさ(笑

閑話休題、以前本になった「乙女の読書道」(→コチラ)は
SFやファンタシィを主なターゲットにした書評集でしたが、今回はエッセイ集。SFマガジンに連載されたものの書籍化です。

まず表紙がすごい。
ドヤ顔で写ってる方は著者ご本人ですが、
著者の写真使ってこんなインパクトがあるのは、
わたしが知る限りでは松浦理英子さんの「セバスチャン」くらい(→コチラ)。
さらにお父さまの池澤夏樹氏のイキな推薦文に「星雲賞受賞希望!!」なる文句。
よくできた表紙です。

これ、読了するまで時間かかっちゃいました。
薄目の本なのに、三段組。
さらにそれぞれのエッセイに、イラスト担当cocoさんの、内容に即した
可愛くてステキな四コマ漫画も付いてます。
話題はSF関連のお話が多いですが、知らない書名や用語でてくると携帯ピコピコ。
そういう意味ではかなりの情報量でした。

面白かったのは、本は横にして積んではならないの件。
本は横になった瞬間に死ぬそうです。
死蔵化まっしぐらとのこと。
耳が痛いというか、まさにわたしは積読本を横に積んでます。
だって縦に置くスペースないもの。
結果増え続ける積読本に悩まされてます。
あとお父さまと本の話をなさっているのは本当にうらやましい。わたしの父親は亡くなってますが、特にその手の会話なかったしな。
せいぜい自分ではもったいながって本を買わない(中間小説誌は買ってた)父親に
ミステリをいくつも貸したくらいの思い出です。
息子とはいえ、ひとから借りた本を勝手に他人にあげちゃうのは困りものだったけど(笑
それからパソコンで書く(打つ)作家さんが増えてきてるけど(とゆうかほとんどだろな)、
手書きからワープロにしたら登場人物の名前の画数が多くなった新井素子さんのお話や、
パソコンだといつまでも直してしまうという山田正紀さんのお話など、へええ~て感じ。

SF用語やSF小説タイトルてんこ盛りなので、SFファンにはこれ以上ないご馳走でしょうが、
わたしみたくそうでない読者にも本好きであればすっごく楽しめます。
いやあ楽しかった。
なお、巻末(というにはボリューミーだけど)のステキな用語集も読み応えあり。

連載中なので、続きもいずれ単行本になりましょう。
出版不況とはいえ、本書は売れると思います。

で、読み終わったわたしはといえば本書に紹介されてるエイミー・トムスンの
「ヴァーチャル・ガール」とcocoさんのコミック、「今日の早川さん」既刊3冊を
ポチったわけでございます。
また積読本が増える…いゃ絵に惚れたcocoさんのコミックは
届きしだい読む所存でございますよ。
07:15  |  Book(エッセイ・その他)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2014.09.14 (Sun)

白い話


青木雨彦著
「課外授業-ミステリにおける男と女の研究」
講談社文庫
昭和55年発行
「夜間飛行-ミステリについての独断と偏見」
講談社文庫
昭和56年発行

―自分が中年になったと意識して愕然としたのは、
下の毛に白髪が混じってるのを発見したとき―

というような文章を、ずっと昔に、
たしか青木雨彦氏の本で読んだと記憶しているのだけど、
手元にある彼の著作2冊をパラパラめくっても出てこなかった。
めくりかたが悪いのかもしれぬが、あるいはその文章の載った本は、
以前近所の本屋さんに大量に本を売ったときに、
手放してしまったのかもしれない。
ちなみにその本屋さんって新刊も古本も扱っていた小さなお店で、
わたしが子供のころからのお馴染みなんだけど、
残念ながら先日行ったらなくなっていた。

ところで青木雨彦氏はコラムニストだけど、
下世話な話をとても洒落た文章で書く方、という印象がある。
最近お名前を見なくなっていたのだけど、調べてみると、
1991年、還暦前の若さで亡くなっているらしい。

手持ちの2冊の文庫本はどちらも海外ミステリをサカナに、
青木氏らしいウィットに富んだ軽妙なエッセイに仕上げている。
題材の引用部分が本筋と関係ないところなので、
ミステリファン的にはこれでそのミステリを読んでみようという気には
なかなかなりそうにないけれど、あくまで自分の文章の養分として取り入れる
使い方が上手い。

さて毛の話だが、わたしが云いたいのは下の毛ではない。
最近鼻毛に白いやつが多いのである。
しかもそういうやつに限って、しぶとく根を生やしていて抜きにくいのである。

そんなやつと格闘しながら思い出されては、
青木雨彦さんもたまったものではないかもしれぬけど。
10:27  |  Book(エッセイ・その他)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2014.05.03 (Sat)

本棚探偵・完結???


「本棚探偵最後の挨拶」
喜国雅彦著
双葉社
2014年発行

喜国雅彦氏の本棚探偵シリーズ最新刊であり最終刊かもしんない
「本棚探偵最後の挨拶」を読み終えました。

エッチでフェチでSMでマニアックな内容で、
JKな女の子がかわいいって内容の漫画を描く(註1)喜国雅彦氏は、
漫画家である一方、本棚探偵の顔ももっています。
いってみれば快人二面相です(笑

この本棚探偵シリーズは喜国氏のミステリ古本マニアとしての日常や、
常人から見たらびっくりするような古本マニアな人々や
出来事をつづった古本エッセイのシリーズです。


「本棚探偵の冒険」
座談会付
2001年発行
「本棚探偵の回想」
2004年発行
「本棚探偵の生還」
小冊子付
2011年発行

全巻揃えるとなかなか立派。
いくつかは既に文庫化されてますが、欲しい方はぜひ古本屋さんででも
オリジナルの箱入り上製本を探して手に入れていただきたいと、
余計なことを思っちゃうくらい見事な、
ほらまるでお父さんお祖父さんの本棚にしまわれていたかもしれない
立派な蔵書と共通する、威圧的な昔ながらの書物の雰囲気を醸し出しています。


三省堂さんのタワー積みを真似してみたつもり(^_^;)


「本棚探偵の生還」についてる小冊子(はさまれてるやつね)。
「バスカヴィルへの旅」「恐怖の旅」収録。

で、「本棚探偵最後の挨拶」を読み終えたわけですが。

このシリーズは古本好き、ミステリ好きにはたまらない本です。
本もいろいろで、たとえ面白い本でも、冒頭退屈だったり、途中が中だるみしてたり、
難しい漢字ばかり使ってやがってたり(ペダンチシズムみたいなやつ?)、
でも最後が面白いと、人間って許しちゃうもんなんですよねー。
あー面白かったー
読んでよかったー
ってなりますよねー。

でも、本当にめったにないんですが、一頁一頁が面白くって、
頁をめくるのがもったいない、読み終わるのが淋しい本てあるんですよね。
この本棚探偵シリーズはわたしにとってそんなシリーズでした。

とはいっても、しいていえばですが、最初の「冒険」がめちゃくちゃ面白くて、
他は少し落ちますけどね(笑

今回の「本棚探偵最後の挨拶」のハクビシン…じゃないな、白眉の章は、
個人的には「四十二年後からの使者」でありました。

江戸川乱歩の少年探偵団シリーズって、子供のころ夢中で読みましたでしょ。←決めつけ
ポプラ社のやつ(註2)。

わたしも怪人二十面相の名前だけはたぶんそれ以前から知ってたんだけど、
少年探偵団シリーズで「怪奇四十面相」ってのを見つけて、
まずそれを読んだんですよね。
四十面相! 二十面相の二倍じゃん! すごいじゃん! てなわけで。
まぁ四十面相っていっても二十面相と同じひとで、
名前をアップグレードしただけなんですけどね。

その中で今でも印象に残ってるのは四十面相が逃げながら、
ポストに変装すして追手をやりすごすシーン。
折りたたみ式のポスト持ち歩いてて、それを頭からかぶるんですね。
そんなかさばるものをどこに入れて持ち歩いていたのかとか、
犬が本物と間違えておしっこしちゃったらどーすんのとか、
今だったら突っ込みたいのはやまやまですがね(註3)。

もうひとつの忘れられないシーンは小林少年が敵に追われて本棚に隠れる話。
本の背を何冊も貼り付けたやつ持ってて、それを背中につけて本棚に収まり、
カメレオンのように本と一体化しちゃうのでした。
読んだ当時は興奮したけど、後になったら、いくら少年とはいえ、
そんなうまくいくわけないだろ、背中の曲線にあわせて本の背がぼこぼこで
違和感ありあり、すぐバレちゃうだろ、なんて思ったものです。

で、器用な喜国氏はそれを再現するのです。
いゃー結果、実に見事な出来で、喜国さんがまさしく本に化けちゃうんですよ。
興味ある方は本屋さんで「本棚探偵最後の挨拶」に写真載ってますので、
立ち読みしてくださいね。

帯にはコレデサヨナラなんてありますが、
本棚探偵シリーズの各書名の元ネタであるシャーロック・ホームズの短編集には
まだ「シャーロック・ホームズの事件簿」があります(新潮文庫版でいえば叡智も)(註4)。
あとがきには、もしかしたらいつか「事件簿」書くかもーとありますので、
これはぜひ実現してほしいものであります。

なお、喜国氏の奥様はやはり漫画家の国樹由香さん。
このシリーズにもよく出てきてますが、仲の良いご夫婦のようで、
ホームページやツィッターを共同でなさってます。


「メフィストの漫画」
喜国雅彦+国樹由香著
講談社
2005年発行

これとか、お二人の共著もあります。



註1)
そーゆう漫画ばかり描いてるかどうかは知らない。
そーゆうのしきゃ読んだことないだけです。
ところで今気づいたけど、「かく」って、字を書くと絵を描くで漢字分かれますよね。
もっとも「描く」はひょっとしてほんとは「えがく」なんかな。
比べて小説でも漫画でも読むは「読む」しか漢字がないのはなぜかね。
註2)
とはいうものの、買ったのは数冊かなー。
なんだかんだ飽きっぽいから(笑
註3)
変装もだけど、こうゆうのが成り立ったのは、まだ街灯が暗く、
暗闇の多い時代だからでしょうね。
今真っ暗闇なんて、都会ではなくなっちゃいましたね。
註4)
かつて困ったことに、シャーロック・ホームズの物語を全部読もうとしたら、
新潮文庫一択だったのです。
なぜなら5冊の短編集のうち、「シャーロック・ホームズの事件簿」だけは権利の問題で、
新潮文庫しか出せなかったから。
しかも新潮文庫は厚くなりすぎないように、一冊の収録作をへぞり、
そのへぞったやつで一冊「シャーロック・ホームズの叡智」を作って、
なんと全5冊のオリジナリティ溢れる短編集にしてしまいました。
だからうっかり他の文庫で買った人は「事件簿」抜きで生きてくか、
「事件簿」と「叡智」を新潮で足して補うしかなかったのですね
(その場合いくつかお話かぶるけど)。
喜国氏は創元推理文庫で親しんだそうなので、本棚探偵シリーズも
とりあえず「事件簿」なしの意向のようです。
わたしも創元の阿部知二氏の翻訳で読みました(その流れで
「ジェイン・エア」も「嵐が丘」も阿部氏の訳で読んだのだった)。
「事件簿」と「叡智」は新潮文庫で買ってあったのですが、
こちらは結局読まずじまいでした。
その後「事件簿」がどこからも出せるようになった時、
創元の深町眞理子さんの翻訳でようやく「事件簿」も読みました。

*(註の註)
喜国氏の真似して註をつけてみました。
でも、註て、あんま多いと、こっち見たりあっち見たり大変めんどいですよね。
わたしは構わず本文読み飛ばしてから、註を本文と照らし合わせて読む派だけど、
人によっては、出てくるたびごとに後ろの註と照らし合わせる人もいるでしょうね。
11:52  |  Book(エッセイ・その他)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2014.02.02 (Sun)

乙女の読書道


「乙女の読書道」
池澤春菜著
本の雑誌社
2014年発行

本屋さんの新刊コーナーに積んであったのをみて、つい買ってしまった本。

声優・歌手の池澤春菜さんの読書エッセイで、
「本の雑誌」に連載された文章を中心に構成された本です。

池澤春菜さんは故福永武彦氏(わたしは加田伶太郎全集しか読んだことない)の
お孫さんで、池澤夏樹氏(この方の本はまったく読んだことない)のお嬢さんで、
いってみれば文学系の血筋。
そのルーツのゆえか、ものすごい読書家。
その読書量、活字中毒者ぶりは亡くなった児玉清氏に匹敵するか、
超えてるかもなレベル(あ、児玉清さんに関する記事はコチラをヨロ)。

雑誌連載の字数制限のためか、ひとつひとつの文章の量は少ないです。
逆にいえば就寝前の中途半端な時間や、喫茶店での憩いの時に
頁をめくるのに適しております(判型が小さく軽いのも都合がよい)。

選ばれてる本はSF、ファンタジーの分野が多いです。
ミステリばかり読んでるわたしからすると、読んだことあるものはありませんでした。
いゃ唯一紹介されている中では異質ですが、
ルーミスの「やさしい人物画」はかつて持っていたような記憶。
なぜそんな本を持っていたかはヒミツですが(笑

池澤さんの文章は乙女チックなようでオトコマエ。
センスが良く、語彙が豊富で、書物に関する知識がずば抜けており、
読んで眺めてはぁはぁします。

ちなみに気になった、気に入ったセンテンスをいくつか―

○物語は素敵。でも、私は一番ドラマチックで一番素敵なのは日常だと思う。
○本は食べ物、漫画はおやつ(中略)問題は、こと読書に関しては
満腹というゴールがないこと。
○大人とは、子供の頃欲しかったものを全部買うだけの財力を得るだけのこと。
○性的倒錯といえど、本や漫画の中で触れて、
きちんと自分自身で吟味してみることが必要。
知らずに育つことが健全なのではなく、知っていて、
自分の意志で拒否できることが健全なのだと思う。紹介されている本の中ではウェン・スペンサーの「ようこそ女たちの王国へ」と
古野まほろの「天帝のはしたなき果実」が特に気になりました。

なお巻末には池澤夏樹氏との親子対談が収録されておりますが、これがまた凄いです。
親子の対話というより、読書家同士のかなり高度なそれになっております。
そもそも「書痴」なんて言葉を使う女の子なんて見たことありません(笑

装丁も綺麗に出来ており、
ビブリオマニアな方なら書架に加えたくなるのではないでしょうか。
続刊を強く希望。
09:46  |  Book(エッセイ・その他)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2013.09.01 (Sun)

悪魔が本とやってくる


「吉野朔実劇場 悪魔が本とやってくる」
吉野朔実著
本の雑誌社
2013年発行

いゃあ、たまさかに出るシリーズ本の新刊て、
発売されてもなかなか気づかないんですよね。

若いころは本屋さんに“これ本”こと「これから出る本」て小冊子が置いてあって、
無料だったこともあり、それもらって新刊必ずチェックしたものですが、
もうそんなズクないし。
つか、気になって調べたら、“これ本”てまだ続いてるんですね。すごい。

そんなわけで、漫画家吉野朔実さんの本を話題にしたマンガによるエッセイ
吉野朔実劇場”の最新刊である「悪魔が本とやってくる」も
7月に発行されてたのに知らなかったのです。
こないだ何となくググッたら出てるのを発見したので、
慌てて三省堂に走ったのでした。嘘です。もう走れません。歩きました。
なんてシチュエーションは前作のときもおんなじでしたが。

吉野朔実劇場も7冊目となります。
装丁がかっこいいです。
巻頭カラーに出てくる悪魔がかわいいです。
吉野さんちのわんこ(コーギー)も相変わらずかわいいです。

相変わらずといえば相変わらず中身の頁にノンブルのない本ですが、
“あとがき”が80-81頁ですからそんくらいのヴォリュームです。
(つか、目次にはノンブル入ってるけど、これ入れる意味あるのだろうか)

そのなかに短いマンガエッセイが23編、おまけに入江敦彦氏との対談付き。

大変な読書家、本好きの吉野さんですから、その読書ジャンルは多岐にわたり、
当然といえば当然、わたしの読んだことのある本は取り上げられてはいませんでしたが、
好きな作家であるキャロル・オコンネルの「愛おしい骨」はそのうち読んでみたい。
面白かったのは、コーギーを飼ってる人は、
ルンバ(お掃除ロボット)を持っている可能性が高いというくだりと、
白鳥が人を噛むというところ。

薄いですが、ハイセンスなエッセイで本を読む楽しさが伝わってくるので、
喫茶店ででもちょっと読んで、その帰りにちょっと本屋さん寄って、
エッセイに紹介されてる本を探してみるのも贅沢な楽しみ方だと思います。

なお、吉野さんの本棚は、
「本棚」というそのものズバリなタイトルの本でちらっと覗けます。


「本棚」
ヒヨコ舎編
アスペクト
2008年発行
10:54  |  Book(エッセイ・その他)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2012.01.16 (Mon)

殺人紳士録



はじめに申し上げておきますが、わたしは英語はからきしダメです。
読むことも聞きとることもできませぬ。

こないだもコンビニで外人のおじさんに話しかけられてパニクったあげく、
聞こえないふりをしてしまいました、ごめんなさい。

かなり昔のことですが、“The Murderers' Who's Who”というペーパーバックを見つけ
買ったわけは、古今東西の殺人者がアルファベット順に簡単に解説してあり
便利だと思ったからです。
当時コリン・ウイルソンの著作のようなものはあったにせよ、
こうゆう客観的かつ辞書的な本がなかったように思います。

英語ダメなので辞書片手に当時興味のあった
ドクター・クリッペンの項目だけやっこら読みました。

さて、後年翻訳が出版されたのですが、ペーパーバック版を持ってることもあり、
あらためて買うのは勿体無いな、と思い購入を控えたのでした。

さらに後年、古本屋さんに置かれてるのを見つけたときは、
かなり安い値段だったこともあり、これは買い時だなと思い
いよいよ購入に踏み切りました。

さてさてせっかく日本語版を手に入れたのですから、
がばがば読まねばいけないところですが、
ここだけの話、いまだ読んでないのでした(^_^;)

“The Murderers' Who's Who”
J.H.H.Gaute&Robin Odell
Pan Books
1980
〈翻訳版〉
「殺人紳士録」
河合修治訳
河合総合研究所
1986年発行
18:53  |  Book(エッセイ・その他)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2011.09.18 (Sun)

少女漫画家の性

少女漫画にハマったのは高校以降だけど、
それ以前の少年時代に知っていた少女漫画家さんといえば、
やはり里中満智子先生くらいだったでしょう。

水野英子先生はいくらなんでも遠すぎたし、
里中先生は「野球狂の詩」で水島新司氏との合作という形で少年誌に登場していたから、
わぁ女性はやっぱり綺麗な絵を描くんだな~と思ったものです。

もっともテレビアニメの世界では「魔法使いサリー」とか「ひみつのアッコちゃん」とか
「リボンの騎士」のような少女漫画的世界があったけど、
あれらの作品の原作者はことごとく男性なのでした。

その里中先生の自伝的エッセイ集が「マンガ愛してます」。



この本は漫画家さんの本としてはちょっと変わってまして、
いちお少女漫画家としての立身出世伝ではあるのですが、
かなりの割合が恋や愛について書かれております。

編集者との恋愛と結婚、そして別れ。
恋へのあこがれ、恋のつらさ、そして仕事と両立させることの難しさ。
びっくりしちゃうのは「愛を確認するには○○○」とまでおっしゃいます
(○のなかは適当に三文字入れてください)。
つまり、相手の○○○を食べられるかどうかが愛の尺度ということらしいです。
どちらかというと女性週刊誌に載ってそうな内容のエッセイ集でありました。

そんな里中先生の漫画で愛読したのが「アリエスの乙女たち」。



ナンノ主演でテレビドラマ化もされた、
いかにも昔の少女漫画らしいドラマティックな作品でありました。

さて、逆に正面から女性漫画家の性にスポットをあてたインタヴュー集が
「よいこのめばえ」です。



登場する漫画家さんは、青木光恵、安彦麻理絵、伊藤理佐、すみれいこ、月岡直美、
いさやまもとこ、松井雪子、波南カンコ、桜木さゆみ、まついなつきの各先生。

こちらはあっけらかんと笑える本です。

「マンガ愛してます」
里中満智子著
大和書房
1977年発行
「アリエスの乙女たち」全7巻
里中満智子著
講談社コミックスフレンド
1974~75年発行
「よいこのめばえ」
鎌田崇太郎著
情報センター出版局
1996年発行
09:57  |  Book(エッセイ・その他)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
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