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2017.04.22 (Sat)

人類最強のときめき


「人類最強のときめき」
西尾維新著
講談社ノベルス
2017年発行

人類最強の請負人、哀川潤の活躍を描いた最強シリーズ第3弾。

今回は新しく出来た島に三カ月滞在する依頼を受けたら、
なんと植物たちの攻撃を受ける羽目になる「人類最強のときめき」、
人類を滅ぼす可能性のある、面白すぎる小説を滅ぼす依頼を受ける
「人類最強のよろめき」の2短編に、短短編である「哀川潤の失敗」シリーズを3編収録。

人類最強が機械が作り出した究極の本と戦う「人類最強のよろめき」が、
めちゃくちゃエキサイティングでした。

今回収録の「哀川潤の失敗」はどれも京都府警の警察官、佐々沙咲が依頼人。
佐々さん懐かしー。

幸せの絶頂にいる女性がビルから飛び降りた事件を探る「死ぬほど幸せ」、
究極の探偵として作られた探偵ソフト、
デジタル探偵と勝負をする「デジタル探偵との知恵比べ」、
インチキしないのに不敗のギャンブラーとギャンブルで戦う
「不敗のギャンブラーと失敗の請負人」。

デジタル探偵の話が特に面白かったです。
最後の話以外は失敗とは言えないんじゃないかなーと思うんですがね。
まあ最後のにしたって失敗とはいえないだろうし。

今回も楽しませていただきました。





なお潤さんの名刺がついてました。
人類最強、名刺なんか持ってるんだなー。
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07:19  |  Book(ミステリ)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.04.15 (Sat)

さらば愛しき魔法使い


「さらば愛しき魔法使い」
東川篤哉著
文藝春秋
2017年発行

魔法使いマリィシリーズ第三弾。
4短編収録のユーモアミステリです。

倒叙形式を用いてるので、最初から犯人が明かされています。
犯人はいつもイケメンで、主人公小山田刑事の上司である
39歳ナイスバディ婚活中の椿木綾乃警部は毎回惚れまくり。
一方、小山田刑事は犯人のちょっとした言動から怪しむと、
魔法使いであるマリィの力で自白させ、
あとは何とか証拠をつかみ追い詰めるというパターン。

マリィは魔法を使い箒で空を飛ぶ魔法使いの少女ですが、
普段は小山田刑事の家でお手伝いをしています。
二人の関係は回を追うごとに仲良くなっていき、今回はついに…。

相変わらず東川氏のギャグ混じりの文章は面白く、ニヤニヤしながら読みましたが、
今回は2話でクリスマス、3話でお正月とイベント月を迎えてることもあって、
小山田刑事とマリィの仲の進展具合には特にワクワクさせられました。

ところが第4話ではなんと、超スーパー科学雑誌の記者兼カメラマンに
魔法少女マリィの正体を知られ…。

さあマリィはどうなるのでしょう。

タイトルから想像できる終わり方ではあるけど、そっけない書かれ方なので、
多分まだシリーズは続くと思うのですが。

気になるところです。
08:20  |  Book(ミステリ)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.04.08 (Sat)

双蛇密室


「双蛇密室」
早坂吝著
講談社ノベルス
2017年発行

援交探偵上木らいちシリーズ最新作。

らいちの援交の相手のひとり、警察官の藍川は二匹の蛇の出てくる悪夢を
小さいころから見続けています。
実際赤ん坊のころ蛇に襲われたことがあるらしいのだけど、
その話を聞いたらいちは矛盾点を発見。
それが気になった藍川は実家を訪れ両親に話を聞くのですが、
そこで彼らから驚くべき告白をされます。
なんと藍川が生まれる直前に両親がかかわる密室殺人が起きていたのです。
しかもその事件には蛇が登場するのでした。
さらに1年後赤ん坊の藍川が高層マンションの27階で蛇に襲われる事件が。
こちらもいわゆる密室。
二つの密室事件をらいちが推理します。

相変わらずの援交探偵らしい身体を使った調査方法が導き出した意外な真実。
驚天動地のトリックと想定外すぎる事件の真相には読後口をあんぐり。
さすが奇才です。
途中までは乾くるみ氏の「Jの神話」みたいなのを想像していたのですが、
まったく違いました。

また端役にいたるまでのキャラ立ちが見事。
藍川の同僚刑事小松凪南のエピソードなんか大爆笑。

せつないラストシーンにらいちのセリフ「人はどうしようもない真実にぶつかった時、
探偵になるしかないのよ。真実を楽しまなきゃ」が心に染み入ります。
07:28  |  Book(ミステリ)  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.04.02 (Sun)

大正箱娘 怪人カシオペイヤ


「大正箱娘 怪人カシオペイヤ」
紅玉いづき著
講談社タイガ
2017年発行

大正を舞台に男の扮装をして新聞記者として働いている英田紺と、
神楽坂の箱屋敷に住む不思議な美少女、
箱娘こと回向院うららが不思議な事件に関わり合うシリーズ第2弾です。

今回は三編収録。
箱薬と呼ばれる不思議な薬のお話、ある伯爵邸で起こる事件、
製薬会社の次男が殺される事件。

それぞれの事件の影では怪人カシオペイヤと名乗る者が暗躍します。
いつの間にか、怪人と関わることになってしまった紺ですが、
果たして怪人の正体は何者なのか。

前巻に登場したうさんくさい貴族やうさんくさい警部も再登場し、
謎が謎を呼びます。
ますます面白くなってきたので次巻にも期待大です。
09:39  |  Book(ミステリ)  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.04.01 (Sat)

D坂の美少年


「D坂の美少年」
西尾維新著
講談社タイガ
2017年発行

美少年シリーズ第6弾。
今回女の子なのに美少年探偵団のメンバーでヒロインの瞳島眉美が、
指輪学園中等部の生徒会会長に立候補します。

現生徒会長の美少年探偵団副リーダー、咲口長広も三年生、
次の生徒会長を決める時期がきました。
ところが長広が次期会長に推してる自分の息のかかった女生徒は、
D坂と呼ばれる人通りの少ない場所でひき逃げされてしまいます。
そこで探偵団は眉美を会長にしようと画策、選挙運動とともに事件の背景を探り、
同時に眉美もまたひき逃げされないように彼女のガードを固めるのですが、
ひかれた女生徒のお見舞いに行った帰りに眉美も自動車にひかれそうになって…。

さあ、どうなる選挙戦、犯人の意図はなにか…。

というわけで、眉美くんがんばります。
選挙運動の過程で美少年探偵団の創設者でリーダー双頭院学の兄
「美談のオドル」も登場。
また謎なぞは次巻「美少年椅子」に持ち越されます。

次も期待。
09:10  |  Book(ミステリ)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.03.12 (Sun)

憑きもどり


「憑きもどり」
明利英司著
さんが文庫
2017年発行

明利英司氏が「旧校舎は茜色の迷宮」でデビューする以前の作品が存在することは、
Amazonで「茜」と「僕の手紙」という二作を発見し知っておりましたが、
入手には至っておりませんでした。
本作はその「茜」の改題文庫化と思われます。
「茜」は2009年に発行されているので、明利氏若き日の小説といえますが、
内容はホラーミステリで、その後の氏のオカルト好きな作風は
すでに確立されていたようです。

本書はわりと短めな作品なので、あらすじも短く書きますね(笑

高校生長江美里が家庭教師をしている原田茜がある夜何者かに殺されます。
現場付近でその後起こる一連の通り魔事件と同一犯と思われますが、
茜の死体の側に残されたダイイングメッセージが事件を複雑にします。

…と短く書くと本格ミステリみたいですが、
事件のまわりには死者の霊的な存在が現れ、
読者の正面からの推理を難しくさせます。読み終わって、さわやかな印象を持ちました。
かなり悲惨な内容なのにそれを感じるのは、著者の持ち味のような気がします。
これは、今まで読んだ他の明利英司作品にも共通して感じたところです。

著者の若い時代の作品であり、殺害動機の弱さ等、
後年の、より熟した「旧校舎は茜色の迷宮」や「幽歴探偵アカイバラ」に比べると
気になる点もありますが、主人公美里と友人ふたりのやり取りのさわやかさが
なにより印象的な作品でした。
オカルトが関わる点、そしてこう表現してよいのか自信はないのですが、
清廉な文章が、現在の著者の特徴をすでに形作っているように思います。

なお、本作は映画化もされるようです。
09:29  |  Book(ミステリ)  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.02.18 (Sat)

ひまわり探偵局


「ひまわり探偵局」
濱岡稔著
文芸社文庫NEO
2017年発行

この著者の作品を初めて読みました。
書店でこの文庫本を手に取り、キャッシャーに持っていくことを決めたのは、
げみさんによる素敵なカバーイラストにもよりますが、
なんといってもパラパラめくってみたときに目に飛び込んできた、
探偵作家ヴァン・ダインによる作品タイトルの数々に惹かれたからです。
実在する有名ミステリ小説のタイトルが出てくると、
つい読みたくなっちゃうんですよねー。
で、読んでよかったです。
素晴らしくハートウォーミングな作品でした。

ひまわり探偵局と呼ばれる探偵事務所のボス、
40代でムーミンパパみたいな体型のおじさん、陽向万象。
そしてただひとりの助手、“さんきち”さん。
このふたりを主人公に、事務所に持ち込まれる謎ニ編、
そして持ち込まれないけど、
日常の謎を万象氏とさんきちさんがそれぞれ解き明かすニ編。
都合四話からなる連作短編集です。
2006年に発行された単行本の文庫化になります。

ヴァン・ダインの作品に関係した謎の解明を扱った一話目は、
すれっからしのミステリマニアにも興味深いのではないでしょうか。
比べちゃうのは、双方に失礼かもしれませんが、
わたしは以前読んだ竹本健治氏の「涙香迷宮」を思いおこしました。
両者にはミステリロマンティシズムとでも呼びたい、
エキサイティングな香りが共通しているように感じます。

それ以外はぐっと日常の謎に近いけど、
どのお話もひととひとの秘めた想いや隠された想いが主眼になっており、
心を打ちます。

マンガやアニメや小説の情報がなにげにたっぷりばらまかれている点も楽しい。

とっても素敵で読んだあと元気が出る小説…
でした。
08:36  |  Book(ミステリ)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.02.12 (Sun)

僕が恋したカフカな彼女


「僕が恋したカフカな彼女」
森晶麿著
富士見L文庫
2017年発行

カフカの書いた小説は、中学の頃だったかに「変身」を読んだきりです。
たしか読書感想文の課題図書だったからだと思います。
だからカフカの他の作品がどんなものか全く知らないけど、
不条理な作品の小説家で通ってるのだから、
他も「変身」のごとくわけわからない小説なのだろうな。。
と想像がつくわけで。

本書にはカフカの代表作いくつかのあらすじが紹介されています。
これを読めばキミもカフカ通だ!
もちろん文学通の方からすればカフカ掻痒の感もあるだろうけど。
しかし、やっぱりカフカって、わけわからない作品ばかりだなあ。。

なんてカフカなことはおいといて。
いや、おいとけないのだけど。
だって本書はまったくカフカなお話だからです。
いや不条理というわけではないけど、
ヒロインの名が架能風香(かのうふうか)というくらいには。。
カもなくフカもなくカフカです。

主人公の高校生深海楓(ふかみかえで)は中学時代さんざん女の子とつきあってきた
モテるやつなのだけど、誰にも恋をしたことがなく、
恋愛活動に飽きた彼は高校に入るとモテないように天然のフリをしています。
ところが同じクラスのいつもヘルメットを被っている不思議な少女風香に興味を持ち、
ゲーム的に彼女を落とすことだけを目的にラブレターを渡すのですが、
文章をケチョンケチョンに酷評されてしまいます。
彼女は自分をカノジョにするにはカフカになれと云い、楓は小説を書き始めますが、
そんな折り彼の身近にはいくつかの不思議な出来事が…。
楓と風香はその謎を解こうと行動します。

と、こんな話だと、風香がホームズ役、楓がワトソンだと思いがちですが、実は逆。
風香が口にするカフカ的なヒントをもとに、洞察力を発揮するのは楓の方。

描かれるのは日常の謎で、ミステリ的には大したものではありません。
しかし、このお話は風香の運命と、いつの間にか彼女に惹かれていく楓の心情と
行動について描かれた青春ラブストーリーであります。

風香はヘルメット被っているだけでも変なのに、
何かというと「キィイ!」(そんな言葉発するひと現実でみたことありません)とか
「図々しい!」が口癖で、彼にいきなりお姫様抱っこされても平然としている、
風変わりで、またある重大な秘密を持った女の子。

そんな彼女のミステリアスな魅力と、
なぜか美女にモテまくりなのに風香一筋な楓が見事な描写で描かれており、
夢中になって読了しました。

全体の構成にも一工夫あり、ライトな小説のようでいて、内容の深い、
なかなか読み応えある小説です。
さあ、楓くんはカフカになれるのか。

あとがきには著者の人気シリーズの登場人物、
黒猫と付き人が特別出演しているとありますが、黒猫シリーズ読んでないので、
わからないと思ったけど、わかりました。
多分あのふたりだろう。

「素敵な不条理は、奇跡と呼ばれる」
という一文が印象的でした。
08:29  |  Book(ミステリ)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2017.01.28 (Sat)

臨床真実士ユイカの論理 ABX殺人事件


「臨床真実士(ヴェリティエ)ユイカの論理 ABX殺人事件」
古野まほろ著
講談社タイガ
2017年発行

井の頭大学の心理学の院生である本多唯花は、
ひとの話を聞くことで嘘か真実かを判別できる能力=障害を持っている女性。
その特殊な力を頼られて、警察の犯罪捜査に協力することもしばしば。
しかし彼女は力を使いすぎると体調が悪くなるので、
法学部の三年生で彼女の生徒で助手、
事件においてはワトソン役である鈴木晴彦はいつもやきもき。
そんなふたりがシリーズ二作目で連続予告殺人犯人に挑みます。

唯花に送られてきた予告状の通り、
Aの場所で血液型がAでAの頭文字の人間が殺されます。
次にはBの場所でB型Bの頭文字の人間が…。
そして犯人の署名はABX。
この連続殺人にはどんな意味があるのか。

タイトルから大方のミステリファンはアガサ・クリスティーの
「ABC殺人事件」を連想するでしょう。
途中まではあの有名作を模した展開であり、
あれが根底にあるのは確かでしょうが、
そこは奇才、凝りまくったアクロバティックな真相にはうならされます。

前作同様、事件の背景がわかりかけてくる個所に達すると、
入り組んだ設定に読むスピードが鈍ります。
さらに散りばめられた伏線のうち、回収されないものもあるので、
通り一遍の予想がいちいち覆されます。

ひたすら論理的なミステリもよいですが、
ケレン味たっぷりな本シリーズのような小説はミステリを読む醍醐味があります。
まさにパズル・ストーリーであります。

だから感想としては、面白かった! しかありえません。

古式ゆかしく読者への挑戦状が挿入されますが、
こんな破天荒な真相にたどり着ける読者がいるだろうか。

主人公ふたりの関係の今後の発展も気になるし、次作が楽しみです。
08:23  |  Book(ミステリ)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2016.12.04 (Sun)

悪魔を憐れむ


「悪魔を憐れむ」
西澤保彦著
幻冬舎
2016年発行

西澤保彦氏の匠千暁シリーズ最新作、今回は短編集です。

このシリーズは困ったことに、長編は良いのですが、短編は時系列がバラバラで、
主人公たちの環境が過去になったり未来?になったりの変化に戸惑います。

本作はタックこと匠千暁が大学を卒業した後フリーターとして働いている時期のお話で、
本作の各短編は時系列で並んでいます。
四作収録されていますが、すべてタックの一人称で語られます。

最初の「無間呪縛」はシリーズのレギュラー警察官である、
平塚刑事の家に過去に起こった密室事件をタックが解き明かすお話で、
四作のうち、これが一番面白く、また感動的でありました。
なお、過去作で平塚刑事と結婚したことが判明しているウサコこと羽迫由起子の、
馴れ初めのエピソードです。

続く「悪魔を憐れむ」はタックが狂言回し的役割で、
探偵役としては精彩を欠いています。
逆にいえば犯人のキャラクターが強烈です。

「意匠の切断」はやはりレギュラー警察官の佐伯刑事が持ち込んできた事件を、
タックと彼の恋人、タカチこと高瀬千帆が解き明かします。
まあ主に彼女がだけど。

「死は天秤にかけられて」はホテルで目撃した妙な男の行動の謎を、
タックとボアン先輩こと辺見祐輔が推理します。

このシリーズはタックが主人公ではありますが、彼が絶対的な探偵役ではなく、
洞察力に優れたレギュラー四人が作品によって探偵役を務めるのが面白いです。

ひさびさのタックのシリーズですが堪能しました。

実は本作のひとつ前に出た長編がいまいちだったので、
今回は久しぶりに西澤氏独特のロジックのひねくり回しを楽しめました。

シリーズ次作はまだまだ先でしょうが楽しみに待ちます。
08:24  |  Book(ミステリ)  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
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