「閻魔堂沙羅の推理奇譚 負け犬たちの密室」
木元哉多著
講談社タイガ
2018年発行

好評第2弾。

父親の閻魔大王のかわりに死者の生前の行いをチェックし、
地獄へ送るか天国へ行かせるか判断してる沙羅。
彼女は自分がなぜ死んだのか知りたい者に、特別なゲームを持ちかけます。
真実は彼らの持っている情報だけで解明できるので、10分間で答えろと。
正解すれば生き返らせてもらえますが、
失敗すると、天国行きが決まってても地獄に落とされます。

今回は短編というか中編というか、三話収録。
どれも読み応え十分。
一応いつも基本パターンは同じなのに、よくアイデアが練られて、
飽きさせない工夫がなされています。
本作でいえば二話目が特に毛色が変わってて愉快。
今回閻魔大王が初めて登場したり、沙羅が今までにない表情を見せたり。
いろいろ堪能いたしました。

秋発行予定の第3弾も楽しみ。

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「緑衣の美少年」
西尾維新著
講談社タイガ
2018年発行

美少年シリーズ第八作。

美観のマユミこと瞳島眉美、大ピンチ。
その透視できるくらい常人離れした視力で美少年探偵団に貢献してきた彼女ですが、
眼科医の検診の結果、目に対する負担のせいで、失明する時期が早まったと。
それを知った探偵団は今回の作戦から彼女を外すことにします。
このたび彼らが敵対する組織、胎教委員会の主催で
短編映画のコンクールが行われるのです。
題目は「裸の王様」(アレンジ可)。
課題は「馬鹿には見えない服」。
組織に近づくため、探偵団も映画を作ることにしたのです。
しかし締め切りまで時間がない。
眉美抜き(それがいいことか悪いことかはさておき)の探偵団は
どうこの課題をクリアするのか。

ミステリだかなんだかわからないお話のようで、
探偵団の作った映画はなかなかミステリの精神にあふれているから問題なし。
特に団長の作品は感動的でいいわあ。

眉美さんの今後を考えると、センチメンタルな内容な今作。
これは完結に近づいているのかどうなのか。
次作は秋刊行予定の「美少年M」です。

あと、今回、創作の描いた眉美のヌード絵画を美術館から盗み出すお話の短編
「美少年盗賊団」が併録されております。

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「ψの悲劇」
森博嗣著
講談社ノベルス
2018年発行

Gシリーズ第11弾です。
そして最後に「悲劇」とつく後期三部作の第2弾です。

ある年寄りの博士が行方不明になります。
自ら行方をくらましたのか。
事故なのか。
殺されたのか。
自殺か。
判明しないまま時が経ちます。

1年後、博士の縁の者たちが彼の屋敷に集まります。
そこで何者かが博士の実験室に侵入した痕跡が発見され、
博士のコンピュータの中から「ψの悲劇」というタイトルの小説のようなものが
発見されます。
さらにその夜殺人が…。

鈴木という博士の家の執事の目を通してお話が語られますが、
屋敷への客のひとりが島田文子であることから読んでいるこちらは混乱します。
だって前作の「χの悲劇」でねえ。。。
いゃ、前作のラストよく読むと暗示されてるんだけど。
それもはっきりと。
それはともかく、島田さん二十~三十代と描写されてることもあって、
このお話の時代背景はどこにあたるのか疑っちゃいましたよ。

物語後半に衝撃の事実が明らかになります。
これは真賀田四季博士が絡む時代背景の異なる複数のシリーズが繋がっている、
森ミステリィならではの荒技といえましょう。
大抵のファンが複数のシリーズを追っかけているであろうからこそ成立する
面白さなんて、森さん以外無理だろうなあ。

ψという文字はYの縦棒が突き出たような形ですが、
今回の各章引用文はエラリー・クイーンの「Yの悲劇」。
事件の内容もあの名作にある程度似ています。
もちろん途中からは森作品らしいハイパー展開になってくるのですが。

個人的には「χの悲劇」ほどではないけど、衝撃的なお話でした。
しかし最後の最後の展開は…うーん。
これは各シリーズを何度も読み直し、メモを作らないと理解不能。
過去と未来が繋がるエピソード。
そして、恐ろしい。
まさしく、悲劇。

さて。いよいよ次作はシリーズ最終刊「ωの悲劇」。
楽しみです。
このまま御大が登場する流れで行くのだろうか。
「すべF」の時はモブだったけど、
その頃は思いもしなかった重要キャラに変貌したから、
それはそれで楽しみなんだけど(笑

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「閻魔堂沙羅の推理奇譚」
木元哉多著
講談社タイガ
2018年発行

眼のつけどころがユニークで、魅力的なミステリです。

閻魔大王の娘沙羅は時々不在の父親のかわりに、
死んだ人間の生前の行いをチェックし、
地獄行きか天国行きかを判断して死者を送っています。
彼女のところに来る死者は自分がなぜ誰に殺されたのかわからない者もいて、
それを知りたがるものだから、沙羅はそんな彼らに特別なゲームを持ちかけます。
真実は彼らの持っている情報だけで導かれるので、10分間で解明せよと。
正解すれば生き返らせてもらえますが、
失敗すると、天国行きが決まってても地獄に落とされます。
そんなわけだから、そのゲームに挑戦する者は、
短い時間で必死に自分の死の謎を解明しようとするわけですが…。
自分を殺した犯人を。
気になっている行方不明の息子の現状を。

これはミステリー定番「読者への挑戦状」のアレンジパターンといえましょうか。
主人公たちと同様に読者も推理ゲームに参加できるわけですが、
残念ながらわたしは第2話しか犯人と理由がわかりませんでした。

4短編で構成されますが、各話に個性があり飽きさせません。
1話のヒロインの人生への立ち向かい方、2話の微笑ましさ、
3話の感動、4話の主人公のキャラ立ち、それぞれ短い話ながらよく出来ています。

沙羅さんのファッショナブルな外見に生意気な言葉使いも魅力的。
素敵なメフィスト賞受賞作です。
すでに続編発行が決定しており、楽しみです。

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「裸探偵・雨宮翔」
雨宮黄英著
角川書店
2012年発行

特務探偵…警察と同等の権限が与えられている探偵。

主人公雨宮翔はアタマの切れる優秀な特務探偵ですが、
謎を解いたとき、関係者を集め、赤いふんどし一丁の裸になって
啖呵をきるちょっと変わった探偵。
いや、ちょっとどころじゃないか(笑
ある日、彼の助手である16歳で高校生の杉山花子が持ってきた招待状。
花子の父親はファッションブランド、ウルドを経営しているのですが、
あるホテルでウェディングドレスのファッションショーを
開催することになったのでした。
そのショーの最中に、モデルもしている花子の先輩が殺されます。
会場には雨宮と同じ特務探偵の赤原もおり、協力して事件を調査するのですが、
しばらくして新たな殺人が起こります。
警察からは10歳なのに敏腕警視な七荻ななかがやってきて…。

ラノベミステリでしょうが、トリックはいまいちです。
しかし登場人物の漫才みたいな会話がすごく楽しい。
また、子供警視や高校生助手といったありえない設定はいかにもラノベですが、
彼らの大人的な考え方や物言いがアンバランスで、何ともいえない魅力があります。

なんだかんだ、結局薬局、なかなか楽しい小説でした。

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「葉桜の季節に君を想うということ」
歌野晶午著
文春文庫
2007年発行

歌野晶午(うたのしょうご)氏の作品は、信濃譲二という探偵の活躍する4冊しか
読んでなかったのですが、本作は評価が高く、またネタバレを見ちゃわないように
コソっとネットを探ると、どうも叙述トリックらしいので、読んでみました。

詳しく書けないので、成瀬将虎という主人公が、
後輩の想い人の依頼で霊感商法の会社の悪事を探るお話に、
助けた自殺未遂の女性がからむ…とだけ書いとこう。



かなり長い小説だけど、すごく読みやすく、
間に挟まるエピソードがどう繋がるのかはわからないながらも、
お話の展開が面白いので、すらすら読めるのはポイント高いです。

クライマックスの展開は驚天動地ですが、感動するかというと、これが微妙。
ちょっとやりすぎというか…、確かに整合性はとれてるのだけど、うーん…。

ネタを知ってから、改めてパラパラ拾い読みすると、
いちいち手が込んでる仕掛けがわかり感心します。
そういえば最初読みながら、「ちょうだい」が引っかかったんだよなあ…。
とはいえ、ちょっとアレだな。スゴいな。
たとえば主人公の妹のセリフ。
「高三の時、八百メートルで都大会に出ましたけど」
うーん。

最後に補遺がついてるのは作者のエクスキューズだろうけど、
おかあさん、おとうさんに関してはどうだろう。
わたしは知らないけど、そういう家庭もあるのかな。

ともあれ、主人公の心意気が気持ちよく、すごく良いお話ではありました。
読み応え抜群です。

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「萬屋探偵・鬼薙~道楽お嬢と貧乏学者の怪奇事件簿~」
麻日珱著
竹書房文庫
2014年発行

大学の講師をクビになり、失業中の維浪稜久(いなみりく)は
高校時代のクラスメイトから恩師が死んだことを教えられ、
葬式に出るため故郷に帰る。
そこで高校時代につるんでいた鬼薙グループの令嬢、
鬼薙玲(きなぎれい)と8年ぶりに再会する。
恩師の通夜に出席した二人だが、なんと棺から死体が消失する事件に遭遇。
玲は道楽でやっている仕事「萬屋」として、稜久を引っ張り回しながら、
事件を勝手に探偵しはじめるのだった…。

サブタイトルに怪奇事件簿とあるように怪奇な現象も起こるけど、
実質的にはミステリです。

とってもSなヒロインと引きずり回される主人公、そして怪奇な事件とくれば、
アタマに浮かぶのは田中芳樹氏の「薬師寺涼子の怪奇事件簿」シリーズ。
お涼サマに負けず劣らず凶暴な玲は、クライマックスの容疑者を集めた謎解きで
情け容赦ない追及ぶりをみせます。

主人公たちの名前が読みにくいので、登場人物一覧表にルビをつけてほしかった。
あと誤記が散見されるのは残念。

死体消失の理由がアレとか、ミステリとしては弱いのですが、
キャラの魅力で読ませます。
特に稜久が玲の泥で汚れた顔を拭ってやったとき、
「黙って猫のように目を細めた」なんて描写はすごく好き。

こうゆうの結構好きなので、ぜひ続編が読みたいものです。

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「友達以上探偵未満」
麻耶雄嵩著
角川書店
2018年発行

奇才麻耶雄嵩先生の新作。

伊賀ももと上野あおは高校生で名探偵コンビ。
彼女たちのまわりに起こった殺人事件に大活躍。
ももの兄は刑事さん。
ももとあおの桃青コンビは実際に事件を解決してもいるので、
便宜をはかってもらって情報を流してもらえるのです。

本書は伊賀を舞台に三つの中編が収録されています。
相変わらずロジックがしっかりしており、見事なのですが、
ややこしいので、わたしなど理解が追いつきません。

ももは推理力はいまいちなのですが、直感にすぐれます。
あおは論理的な推理にすぐれ、すごい名探偵のようで、足りないのが直感力。
そんなふたりが、お互いに自分がホームズになって相手をワトソンにさせようと
探偵合戦を繰り広げる楽しいミステリでした。

周ロック・ホームズに笑いました。
あと、モブの登場人物の顔を実在のミステリ作家の顔を用いて
表現しているシーンが麻耶先生らしく、おかしい。

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「神神神は、罪に三度愛される」
梨沙著
朝日エアロ文庫
2016年発行

「神神神」と書いて「かがみしん」と読みます。
本書の主人公です。
心臓に欠陥があり、虚弱体質の高校生。
彼が高校で所属している超常現象研究部は夏休みに合宿を行うことになります。
場所は神がかつて通っていた中学校で現在は廃校となっています。
合宿テーマは「呪い」。
優等生な部長の藤や神をいつもいじめる先輩の泉屋、内気なつくし、
神の幼なじみで神が現在居候している家の娘日和、
超常現象研究部の顧問で来年結婚をひかえた艶子先生のメンバーで始まった合宿ですが、
いくらテーマが呪いだからって、首塚に蛇の首が置かれてたり、落雷が直撃したり、
思いもしなかったさんざんな状況になります。
さらに泉屋が殺されるのですが、台風で道がなくなり、携帯が壊され、
逃げることも外部に連絡をとることも不可能に。
物語は吹雪の山荘ものの様相を呈してきます。

途中で現れる寿祭という女性の活発で一所懸命なキャラが救いではありますが、
登場人物がどいつもこいつも裏で得体の知れない怖さをもっていそうで、
安心して読めないストーリー展開です。
表紙のイラストからは想像もできない暗く陰鬱なストーリー。
トリック自体はさほどのものではありませんが、
登場人物たちの裏に秘めた情念が読ませる原動力となってあます。
アガサ・クリスティの作品によく登場するテーマ、
「過去の罪は長い尾を引く」を思い起こしました。

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「掟上今日子の色見本」
西尾維新著
講談社
2018年発行

忘却探偵シリーズ第十弾です。

今回、なんと、今日子さん誘拐されてしまいます。
彼女の事務所の警備員親切守のもとに犯人から電話がかかります。
彼女を返してほしくば十億円払えと。
困った親切くんは悩んだあげく、
隠館厄介氏と警察官である日怠井警部に相談を持ちかけるのですが、
ロクに役に立ちません。
ところがふとした着眼点から、誘拐した犯人の正体を探り当てるのです。

今回珍しく親切くんの登場回、そして彼が素晴らしい推理力を見せます。
犯人の今日子さん誘拐の理由もふるってるし、なかなか面白いエピソードでした。
ただ今日子さんの活躍ぶりは少ないですが。
まあ長いシリーズですから、いろんなパターンがあってよいです。
楽しめました。

次回は「掟上今日子の五線譜」、夏頃発売予定らしいです。

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暗ヲ

Author:暗ヲ
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