「神神神は、罪に三度愛される」
梨沙著
朝日エアロ文庫
2016年発行

「神神神」と書いて「かがみしん」と読みます。
本書の主人公です。
心臓に欠陥があり、虚弱体質の高校生。
彼が高校で所属している超常現象研究部は夏休みに合宿を行うことになります。
場所は神がかつて通っていた中学校で現在は廃校となっています。
合宿テーマは「呪い」。
優等生な部長の藤や神をいつもいじめる先輩の泉屋、内気なつくし、
神の幼なじみで神が現在居候している家の娘日和、
超常現象研究部の顧問で来年結婚をひかえた艶子先生のメンバーで始まった合宿ですが、
いくらテーマが呪いだからって、首塚に蛇の首が置かれてたり、落雷が直撃したり、
思いもしなかったさんざんな状況になります。
さらに泉屋が殺されるのですが、台風で道がなくなり、携帯が壊され、
逃げることも外部に連絡をとることも不可能に。
物語は吹雪の山荘ものの様相を呈してきます。

途中で現れる寿祭という女性の活発で一所懸命なキャラが救いではありますが、
登場人物がどいつもこいつも裏で得体の知れない怖さをもっていそうで、
安心して読めないストーリー展開です。
表紙のイラストからは想像もできない暗く陰鬱なストーリー。
トリック自体はさほどのものではありませんが、
登場人物たちの裏に秘めた情念が読ませる原動力となってあます。
アガサ・クリスティの作品によく登場するテーマ、
「過去の罪は長い尾を引く」を思い起こしました。

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「掟上今日子の色見本」
西尾維新著
講談社
2018年発行

忘却探偵シリーズ第十弾です。

今回、なんと、今日子さん誘拐されてしまいます。
彼女の事務所の警備員親切守のもとに犯人から電話がかかります。
彼女を返してほしくば十億円払えと。
困った親切くんは悩んだあげく、
隠館厄介氏と警察官である日怠井警部に相談を持ちかけるのですが、
ロクに役に立ちません。
ところがふとした着眼点から、誘拐した犯人の正体を探り当てるのです。

今回珍しく親切くんの登場回、そして彼が素晴らしい推理力を見せます。
犯人の今日子さん誘拐の理由もふるってるし、なかなか面白いエピソードでした。
ただ今日子さんの活躍ぶりは少ないですが。
まあ長いシリーズですから、いろんなパターンがあってよいです。
楽しめました。

次回は「掟上今日子の五線譜」、夏頃発売予定らしいです。

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「探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます」
東川篤哉著
幻冬舎
2017年発行

犯罪以外はなんでも引き受ける「なんでも屋」の橘良太、31歳。
彼の大のお得意様は全国的に有名な名探偵綾羅木孝三郎で、
しょっちゅう娘のお守りを依頼されます
(ちなみに奥さんは世界的に有名な名探偵)。
娘の有紗は小学校4年生10歳。
父親の前ではおとなしくてかわいい娘を演じていますが、
良太とふたりきりになると高飛車な態度に変わり、自らを「探偵」と称します。
そして面白そうな事件を見つけると首を突っ込もうとするのです。
単発ドラマ化もされた人気作の第二弾。

今回は名探偵の有紗と嫌々助手役の良太が、孝三郎の知り合い家族と
キャンプに出かけた先で起きた殺人事件を解決する話、
焼き鳥屋の秘伝のタレを狙う怪盗ウェハースと対決する話、
運動会で起きた出来事が事件に発展する話、
お笑い芸人が殺された事件に関わる話、
の4短編収録。

相変わらず安定した面白さで楽しませてくれます。
トリックより文章のセンスのよさやキャラの魅力で読ませる東川ミステリ好調です。
とはいいながら、第一話のトレーラーの謎のくだりはなるほどと思いました。
第三話の怪盗ウェハースは今後再登場してくれるのかな。
終盤みせる有紗のミサイルキックも健在。

続刊希望します。

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「キララ、探偵す。」
竹本健治著
文藝春秋
2007年発行


「キララ、またも探偵す。」
竹本健治著
文藝春秋
2008年発行

大学生の侑平くんはあるとき従兄の益子博士からモニターを引き受けるけど、
届いた大荷物は開けてびっくり美少女メイドロボット。
「…でしょうか~」「…ですぅ」と、語尾が萌え萌えな彼女の名前はキララ。
家事仕事こそドジドジだけど、ご主人様のために一所懸命がんばるのでした。
侑平くんの叔母は探偵事務所を経営しており、
彼はそこに持ち込まれた事件を頭が良く力も強いキララとともに
手伝うことになるのですが…。

この2冊はそんな彼らの楽しくエッチでひやひやする活躍を描いた短編集です。
アンドロメイドのキララには実はセクサロイドモードがあり、
スイッチが入ると、Sな女王様のクララに変貌します。
ロボットの二重人格的設定がユニーク。

竹本健治氏は中井英夫氏の「虚無への供物」にオマージュを捧げた
「匣の中の失楽」を20代前半で書いてデビューしたけど、
以後のゲーム探偵シリーズ3部作も含め固い難解ミステリ作家のイメージがありました。
その後何十年ものあいだに、さまざまな作風の作品を生み出してきましたが、
そんななかでこんなにライトで楽しい青春ミステリ…
というか、大人の男性のための童話を贈り届けてくれたことには喜びを隠せません。

なにしろキララちゃん可愛い☆
ロボットなのに、時々人間並みの感情らしきものもみせる魅力的なキャラです。
魅力といえば、キララのほかのアンドロメイドたち、
同じ大学仲間の口うるさい光瑠、グラマーな外人研究者のミス・キャンベル、
アイドルの莢果、同じくアイドルだけど、実は○○の美夜等、
まわりをとりまく面々も負けていません。
でもやっぱりキララちゃん☆
第一話の事件の謎を解いたときのキララちゃんの描写、

…片手を腰にあて、大きくスイングさせたもういっぽうの手を
顎の下で拳銃のように構えて、
「キララ、分かっちゃいましたあ!」

いゃもうノックアウトされました。
アンドロメイドの予価は1億円らしいです。
でも侑平くんはモニター特権でモニター期間後もずっと一緒にいられるらしい。
なんとうらやましい。

この2作を比べると、全体的な出来は「キララ、探偵す。」の方が上かと思います。
続編の方はとりとめない印象だし、なんといってもクララが登場しないのが残念。
しかし、光瑠の主役編があるし、
ミス・キャンベルのかなり過激な○○○シーンが興奮させてくれますが(笑

可愛いキララちゃんをもっと読みたいので、
いつか更なる続編が書かれることを期待したいです。

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「透明人間の異常な愛情 ニュクス事件ファイル」
天祢涼著
講談社タイガ
2017年発行

講談社タイガにおける共感覚探偵ニュクスシリーズ第2弾です。
以前講談社ノベルスで書かれた同じヒロインの作品とは、
少々趣が変わっております。

矢萩警視監の直属の部下で、
音が視える共感覚を武器に事件を捜査する美少女探偵音宮美夜、
コードネームはニュクス。
彼女とコンビを組む若い巡査の道明寺一路。
ふたりが今回立ち向かう相手は透明人間?

見えない相手からのナイフによる攻撃を受けた傷害事件が発生。
捜査を始めるふたりの前に現れたのは美夜のかつての同級生の女の子。
彼女の祖父は秘密裡に透明になれるスーツを研究している研究所の所長。
美夜と道明寺巡査は孫娘とともに研究所を訪れますが、
彼らの目の前で所長は襲われ…?
やがて次々に殺される所員たち。
研究所はロックがかかって脱出は不可能。
姿の見えない透明人間と戦う羽目になった美夜たち。
透明人間の目的は何なのか。
一連の殺人の犯人は誰なのか。

突拍子もない設定ですが、ミステリというより美夜と道明寺の透明人間との戦いが
主軸となっております。
美夜のアタマのキレと、純朴な道明寺巡査の一所懸命な行動が楽しく、
一気に読ませます。

またラストのどんでん返しに次ぐどんでん返しはエンターテインメントの醍醐味。
今回登場した少女がなかなかクセがあって、
もしかすると以後もからむのかな、と、これからがまたまた楽しみです。

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「バビロン III ―終―」
野崎まど著
講談社タイガ
2017年発行

東京地検特捜部の検事正崎善は新域において自殺法を制定しようと目論む齋開花と、
彼と組んでいるらしい不思議な力を使う凶悪な女曲世愛を追いつめたつもりが、
大勢の部下を自殺に追いやられ、またひとりの女性部下を惨殺されてしまいます。
もはや彼にも検察にも政府にも止めるすべはなにもなく、
新域における自殺法が制定されてしまうのでした。
そして自殺法はやがて世界各国の都市で導入する動きとなっていきます。
そんななか、自殺を容認すべきか否定すべきか悩み続けていた合衆国大統領は、
各国首脳の集まったサミットにおいて結論を出そうとします。
長い長いディスカッション。
しかし、同じころ日本で自殺を認める都市の首長を集めた自殺サミットを主催していた
齋開花から大統領に連絡が入り、またまた最悪が起こるのです。

いきなり登場人物表のほとんどが外人になっていてびっくり。
大統領の人生、通訳者の人生が描かれ、それはその後の展開に深く関わっていきます。
やがて正崎の意外な登場。
今回は自殺が是か非かという問題が長く描かれるので、
思索的な内容で終わるかと思っていたら、
最後に想像を絶する爆弾を投げつけられます。
タイトルにある終は最終巻の意味ではなかった―。
鬼才野崎まどは何と恐ろしい世界を描くのか。
今回はタイトルのバビロンの意味にも少し触れられています。

ラストでまたまた恐ろしい展開を予想させ、またまた次巻読むのが怖いよう。

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「ひまわり探偵局2」
濱岡稔著
文芸社文庫NEO
2017年発行

ひまわり探偵局と呼ばれる探偵事務所の所長である、
40代でムーミンパパみたいな体型のおじさん、陽向万象。
そしてただひとりの助手、“さんきちさん”こと三吉菊野。
このふたりが事務所に持ち込まれる日常の謎を華麗に解き明かす、
ハートウォーミングなミステリ第2弾。
今回は暗号をテーマにした中編二作収録です。

父親の残した不可思議な暗号を持ち込んだ男性。
その暗号は地図のようなものと、表のなかに漢字やカタカナ、
数字が書かれていました。
実は男性の父親は行方不明だったのだけど、
あることから余命いくばくもないことを知り、
暗号を解いてから父親に会いにいこうというのです。
さあその暗号に隠されたものとは。

もう一編は助手のさんきちさんの姪が持ち込んだ暗号。
クラスメイトのチケットがなくなり、親友が疑われたのだけど、
封筒に入った暗号が書かれた紙が発見されたため、
親友を助けるため事務所に持ち込んだのです。
それを解けば真犯人がわかるはず…しかしそれがまたわけのわからない暗号で・・・。

最初のお話の暗号がすごいアイデアです。
前代未聞、驚天動地といっていいでしょう。
暗号ミステリ傑作選みたいなアンソロジーがありますが、
もし今後新しいのが企画されるなら、絶対収録してもらいたいような秀逸な暗号です。
とはいえ、短い話ではないから無理でしょうが。

もうひとつの暗号は不思議の国のアリスにでてくるようなファンタジックな代物ですが、
このお話ではさんきちさんが大活躍します。
陽向万象はすごいスーパー名探偵なのですが、
彼だけに出番をふらないとこが作者の素敵なセンスです。

どちらのお話も暗号が主体ではありますが、
主人公ふたりが紐解くのは謎なぞであり人のやさしさ。
なので感動的なストーリー展開もよくできていて
思わず目頭が熱くなります。
博覧強記な作者によるオタク的知識もてんこ盛りで、
昭和世代には何もかもみな懐かしい。。

もちろん続刊期待します。

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「美少年椅子」
西尾維新著
講談社タイガ
2017年発行

美少年シリーズ第七作。

前作で指輪学園生徒会長になった美観のマユミ。
彼女に副会長の長縄さんがとんでもない案件を提出します。
指輪学園には美少年探偵団と呼ばれるいかがわしい組織があるらしい、
生徒会としては、適切に対処しないと…。
というわけで、美少年探偵団の一員である眉美さんは慌てて探偵団に話を持ち込みます。
美少年探偵団のアジトである美術室には簡単にはかたずけられない代物が
多数存在しており、さあ困った。
そんな折り、髪飾中学校の生徒会長札槻嘘からデートのお誘いがきます。
要件は以前の生徒会長選挙のとき暗躍した謎の人物のことだろうけど、
眉美は美少年探偵団のため、ある物を借りるため、髪飾中学校に潜入します。
授業をサボって、バニーガールの格好で!

というわけで、今回は緊迫感はあまりない、幕間話的なエピソードです。
髪飾中学校てのは生徒会長の権力で服装が男子はスカジャン、
女子はバニーガールという、素晴らしい学校です。

件の謎の人物は何者なのか。
目的は何なのか。
眉美と髪飾り中学校の生徒会長との話し合いで、
うすぼんやりとわかったようなわからないような。
今後明らかになるでしょう。

次巻は来年春発売予定「緑衣の美少年」。

あ、今回短編「放課後の道化師」がボーナスカットで収録されてます。

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「屍人荘の殺人」
今村昌弘著
東京創元社
2017年発行

第27回鮎川哲也賞受賞作。

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長で神紅のホームズこと明智恭介は、
探偵少女剣崎比留子の口利きで映画研究部の合宿に参加することになります。
昨年の合宿で何かが起こったらしく、脅迫状が出現しており、
事件の予感にときめく明智。
ところが現地では彼らの思いも寄らぬ事態が起こり、
学生たちとOBはペンションの紫湛荘に籠城することになります。
そこで起こる連続殺人事件。
二重の密室での不可能犯罪は誰が何のために行ったのか。

ミステリの常ではありますが、事件が起こるまでが少し退屈。
しかし事件後はぐんぐん引き込まれます。
気になったのは、クローズドサークルを構成する○○○を
現実的なものとして扱っている点。
もう少しリアリティのある設定がなされていたら、
なお良かったと思います。
もひとつ、タイトルにある「屍人荘」は舞台となる紫湛荘からとっているわけですが、
本文中「屍人荘」という言い換えが一度しか出てこないので印象的ではありません。
登場人物に何度か呼称させておくとなお良かったかなと思いました。

しかし、鮎川哲也「りら荘事件」オマージュなアレをはじめ数々のトリック、
ロジカルな謎の解明は本当に素晴らしい。
特にラジカセのアレは大好きです。
さらに名探偵の名前を二つくっつけた明智恭介の扱いがすごく斬新。
主人公の葉村と探偵役の比留子のステレオタイプではないキャラ設定もよく出来てます。

総じて大変な力作傑作で、これからが本当に楽しみな作家が誕生しました。

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「南柯の夢」
椹野道流著
講談社ノベルス
2017年発行

椹野道流(ふしのみちる)さんの法医学ミステリ、鬼籍通覧シリーズの最新作、
「南柯の夢(なんかのゆめ)」が刊行されました。

女子高校生が浴室で手首を切って死んでおり、
その横で親友の女の子が腕を組んで寄り添っていた…。
遺体の解剖を担当する伊月崇、伏野ミチルらO医大法医学教室の面々。
一緒にいた女の子は何もしゃべらず、死の背景がわからないままのある時、
伊月と同居人で幼なじみで警察官の筧兼継が久しぶりに再会した
かつての同級生の女性に頼まれ、蔵の片付けを手伝うのですが、
ひときわ大きな箱に入っていたのは…なんとミイラ?

ふたつの事件にいつもの面々が活躍します。

ミステリらしいトリックはないですが、人生のはかなさ、人間の生き方、
死に方の切なさを感じさせる佳作です。
専門家の作者ならではの解剖シーンは迫力があり、
それによって遺体の事情が判明していくシークエンスはいつもながら興奮します。

もちろん、ごはんを食べる場面がふんだんに挿入され、
生きていくことの大事さを教えてくれるのもいつも通り。

毎回楽しみなシリーズなのです。

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Author:暗ヲ
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