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2011.08.14 (Sun)

私という他人


「私という他人-多重人格の病理-」
C・H・セグペン、H・M・クレックレー著
川口正吉訳
講談社
1973年発行

「私は多重人格だった」
クリス・C・サイズモア、エレン・S・ピティロ著
川口正吉訳
講談社
1978年発行

1974年に放送されたテレビドラマで、
三重人格を扱った「私という他人」という作品がありました。
矢代静一、ジェームス三木の脚本、精神科医の斎藤茂太が監修にあたっておりました。

主演は三田佳子。
夫役が山崎努で、彼女はそのおとなしく貞淑な奥さんだったのですが、
ある朝目を覚ますと、見知らぬチャラチャラした洋服を着て派手な化粧をした
自分を発見します。
その記憶がまったくない彼女は戸惑いますが、それが何度も続き、
夜中に怪しいことをしてるんじゃないかと不審がる夫との関係は
段々気まずくなっていきます。
やがて思いあまった彼女は小林桂樹演ずる精神科医の診察を受けるのですが。。
(精神科医の奥さんでたしか助手でもある役が斎藤美和だったと思います。
あのころはよくドラマで品の良い、きりっとした役をやられてました。
ちなみに映画の「日本沈没」(最初の映画版)では
山本総理(丹波哲郎)の夫人を演じました。

昔見たドラマなので記憶がかなりあやふやなのですが、
精神科医が催眠療法をかけたのかどうだったか、
とにもかくにも精神科医の目の前にはすっぱな第二の人格があらわれます。
第二の人格は第一の人格が覚醒している間は現れることはできませんが、
第一の人格の行動をアタマのなかで見張っており、
第一の人格が眠って意識がなくなると肉体を支配し、
派手な服を着て夜の街をさまよい男と遊びまくります。
第一の人格は第二の人格の存在を知りません。

結局最終的に第三の人格―第一と第二の人格を統合したような落ち着いた思慮深い、
そして活発な人格が登場し、彼女を支配していきます。
第一と第二の人格は消滅し、第三の人格は新しい人生を生きていくのでした。

先に述べたように大昔の記憶なので、間違っていたらごめんなさい。
彼女の変貌についていけなくなった夫とは別れ、新しい恋人が出来たような気がします。

後年、このお話は山本陽子主演の二時間ドラマでリメイクされました。
脚本がやはりジェームス三木だからか(ジェームス三木の名があったのは覚えているが、
矢代静一がリメイク脚本に名を連ねたか不明)、
ヒロインの子供のころの心象風景を描いたシーン
(田舎での巡礼だかお葬式だかのシーン)がまったく同じショットで、
面白く思いました。

このお話は実話が元になっておりまして、実際は大きくわけて4重人格だったようです。
「私という他人」は診療した医師が書いたドキュメンタリーで、
患者の名前はイヴ・ホワイト、イヴ・ブラックというように仮名を用いております。
日本のドラマ以前にハリウッドで1957年に映像化されました。
「イブの三つの顔」という邦題で主演のジョアン・ウッドワード
(故ポール・ニューマンの奥さん)はアカデミー主演女優賞に輝きました。

「私は多重人格だった」はそれからかなりの年月がたち、患者本人が本名で書いた本で、
もうひとりの著者は従妹であります。
なお、もう一冊「私の中の不思議な他人」という本もあったようです。

さて、結局ヒロインは新しい人格で生きていきます。
その人格は彼女自身にとって理想の形だったかもしれませんが、
第一の人格も第二の人格もこの世に生を受けた命です。
ひとりの女性のなかに宿ったいくつかの命が消滅し、
ヒロインは長い間生きてきた人格ではなく、新しい人格で生きていく。
消えていった人格を思うと、なんとなくせつないなと思いました。
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