本を読まなくなっていた間になにげに買ってあった本、
天祢涼(あまねりょう)の「キョウカンカク」を読んでみることにしたのだけど、
その前に念の為―2010年の発行でそんなに年数経ってないし見かけた覚えもなかったから、
これ1冊しか出てないだろうとタカをくくって―検索してみたら、
他に2冊の本が講談社ノベルスから刊行済み。
しかも1冊は「キョウカンカク」と同一シリーズの「闇ツキチルドレン」。
シリーズものは基本全部読む主義なので、
非シリーズの「空想探偵と密室メイカー」とあわせて書店で購入。
さて「キョウカンカク」ですが、表紙イラストが派手というかラノベテイスト。
探偵役は共感覚を持つ19歳の女性、音宮美夜。
彼女の共感覚は音を聞くと色や形が見えるというもので、
声の色によって殺人の意思がわかってしまう。
もちろんそれで犯人わかっちゃったらつまらないので、
フウダニットにこだわらないストーリー展開が用意されてるわけですが。
物語は連続殺人者通称フレイムに幼なじみを殺され、
フレイムを探し出し復讐しようとする少年と美夜、美夜の雇い主である警察関係者、
三者三様の推理を交えながら、
犯人の意外な殺人動機が暴かれるクライマックスへと突入します。
しかしながら、その前代未聞な殺人動機よりも、人目をひく銀髪で、
脱いだコートをしわをのばして丁寧に畳み、初対面の少年に「すいません」と声をかける
音宮美夜のキャラに大いに心を惹かれます。
というか「すみません」はいつの間にか「すいません」が一般的になってきましたね。
しゃべり言葉だけの話ではなく、仕事でいただくメールでも
「すいません」が使われることが多くなりました。
とまれ最後に判明する彼女の真の姿も含め、かなりユニークな探偵の登場であります。
あとこの作者は伏線を丁寧に書き込んである点に好感が持てます。
伏線というものは誠実にやりすぎて、あまり目立つ書き方をしちゃうと
トリックがばれちゃうけど、その点うまく紛れ込ませ読み手に気づかせない
テクニシャンぶりです。
逆にいうと、謎の解明後、伏線の書かれている箇所を見返すときに
見つけにくいのだけど。
音宮美夜シリーズ2作目の「闇ツキチルドレン」では美夜は猫や犬、
人間を襲う犯罪者チャイルドを追い詰めていきます。
美夜と敵対する元警察のお偉方である食えない老人が魅力的で、
こちらも読ませます。
なお美夜シリーズではない「空想探偵と密室メイカー」は、古今東西の名探偵を
空想の中で呼び出し推理の助けを借りるの少女と、その名探偵が見えてしまう少年、
少女の父親で警察官の3人が密室事件の謎に挑むお話。
なかなか面白いけど、わたしはやはり音宮美夜をまた書いてほしいと思うのです。
天祢涼著
「キョウカンカク」 2010年、講談社ノベルス刊
「闇ツキチルドレン」 2010年、講談社ノベルス刊
「空想探偵と密室メイカー」 2011年、講談社ノベルス刊
先日発売された季刊オーディオアクセサリー誌147号ですが、
付録にACOUSTIC REVIVE製導通向上クリーナーがついております。
アコリバが発売している導通向上クリーナーECI-100(14700円)のサンプル品で、
マーカーのようなペンでオーディオシステム1セット以上の塗布が可能とのこと。
端子やプラグにコキコキ塗るのですね。
実際のECI-100はスプレータイプで先端にチューブが付いているので、
もっと使いやすそうです。
オーディオアクセサリー誌にCD以外の付録って初めてではないかしら。
と思ったら年末向きにクリーニングのちょっとした特集が組まれているから、
縁のあるアコリバとのタイアップですね。
さて。わたしはクリーニングというか掃除が苦手です。
さすがに機器のホコリはときたま拭き取りますが、
わざわざケーブルを抜いての接点クリーニングなんて面倒なことはしません。
苦労して行ってみて、もし音が良くなってしまったら困ります。
だって定期的にやらなくてはならなくなる。
腰痛と老化現象で利き腕の痛む身ではとても無理です。
だからあえて手を触れません。
それにいつかは気に入ったクリーニング用製品も市場からなくなるでしょうから、
そのときかわりを探さなければならなくなります。
だからわたしの使用するアクセは一度加えたらそのままでよくて、
半永久的に保ちそうなやつに限られます。
話かわりますが、オーディオアクセサリー誌では寺島靖国氏の連載エッセイ、
「ジャズびたりオーディオ桃源郷」も楽しく読んでおります。
もちろん単行本にまとまったら、改めて買うんですけどね(笑
今回の連載で寺島さん、BMCかダン・ダゴスティーノの
どちらかのアンプを買うと書かれてる。
ダン・ダゴスティーノだとしたら、高価は高価として、
ステレオかモノラルか書かれてないのでどちらを候補にしてるのだろう。
自分ではとても買えない機器ですが、他人様の物欲話を読むのも楽しくて大好きです。