「焼け跡のユディトへ」
川辺純可著
原書房
2014年発行

以前読んだ明利英司氏の「旧校舎は茜色の迷宮」(→コチラ)と同じく、
第6回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作です。

実は当初、買って読む気はなかったのです。
本屋さんでパラパラめくってみたのだけど、敗戦数年後を舞台にしている、
時代物(笑)のようなので、敬遠したのでした。
ところが、また次の機会に何げに手に取ってカバー見返しを見たら、
どうも「見立て殺人」を扱ってるらしいのを知りました。
われわれミステリのファンて、「見立て」とか「密室」とか「不可能犯罪」とか
「叙述トリック」とか「最後の一行で大どんでん返ーし」とかにヨワいじゃないですか。
それで一瞬の逡巡のすえ、買って読んでみることにしました。

ある目的をもった主人公が瀬戸内のある都市に立ち寄ります。
そこである一家と親しくなりしばらく同居することになるのですが、
やがて連続見立て殺人に巻き込まれていきます。

わたし戦後生まれなものですから、最初は頻繁に登場する
見慣れぬ当時の用語にとまどい、なかなか頁が進みませんでした。
とりあえずは主人公と一家との楽しそうな生活が描かれ、
しばらくはこれがミステリだということを忘れていました。

ところが事件が起き、妙なガイジンが登場するあたりから俄然面白くなり、
その後は夢中で読み進んでしまったのでした。

戦後の雰囲気を上手く描写しており、また犯人の動機も時代性を感じるもので、
オリジナリティのあるセンスよい作品と思います。

また小さな伏線が適当な時点で消化され、最後の謎解きまで引きづらないのも
読者にとっては読みやすい、上手い書き方です。

タイトルのユディトについては中盤まで言及されませんが、最後まで読み終えると、
ああユディトが真の主人公だったかとわかる仕掛け。

ばらのまち福山ミステリー文学新人賞の作品は、本作と明利氏の作品しか
今のところ読んでないので偉そうなことはいえませんが、
二作ともに、選考を行っている島田荘司氏の小説に通ずるカラーを感じました。
それはつまり、お話の語り口の面白さと魅力的な登場人物の創造であります。

いやあ面白い小説でした。
しっかし困ったな、またお気に入りの作家が出来ちゃった。
積読本たまってんのにさ(笑
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