「晴追町には、ひまりさんがいる。 はじまりの春は犬を連れた人妻と」
野村美月著
講談社タイガ
2015年発行

ラノベ作家である野村美月さんの、
初めての一般文芸レーベルからの作品刊行とのこと。

木村春近が何とか合格した大学は東京とは名ばかりの田舎、晴追町にあり、
彼の実家千葉からは片道二時間。
気を遣った家族は固いプリンが大好きな彼にとろとろプリンばかり買ってくるし、
隣の家に越してきた夫婦の奥さんの方はなんと以前一度だけ関係を持った女性で
気まずいし。
そんなわけで2年生になる前に春近は家を出て晴追町に住むことにしたのでした。
ところが越してきたとたん不眠症になり、真夜中に公園に行ってみたら、
そこで日向ひまりという結婚指輪をつけた女性と出会います。
彼女は、犬(サモエド犬らしい)を連れており、「有海さん」と呼びかけてます。
しかもその犬のことを旦那さまだと教えてくれるのでした…。

ここまでくると、「めぞん一刻」かよと思うところですが、
そこはちゃんと作中で言及されます。
“美人で胸の大きな下宿屋の管理人さんが出てくる古い漫画があった”と。
あれ、昔のことでもう忘れちゃったけど響子さんは胸おっきかったっけ?
とゆーかあれ読んでたころは胸の大きな女性に興味なかったからな。

ところで春近はいつも人妻に恋をしてきたのでした。
そして今度もやさしくて笑顔が素敵なひまりさんに恋してしまいます。
春近くんはお節介な体質で、同じサークルの愛想のない女の子巴崎笑麻や
ヤクザみたいな雰囲気の園長先生やサークルの先輩カップルの抱えている問題に
力を貸そうとしますが、そんなときひまりさんがいつも話をきいてくれたり
助言してくれたり手伝ってくれたりするのでした。

夫が姿を見せない不思議な人妻に対する主人公の淡い恋を軸に、
主人公のまわりの人達の恋愛模様と主人公の成長を描いた
ハートウォーミングな連作短編集で、
ちょっと加納朋子さんの作品群を思い起こしました。

遊園地以外いつもひまりさんの隣にいる犬の有海さんの、合いの手の「ワン!」が
良いリズム感で文章にやさしさを加えてます。

作中のある女性の言葉「好きになりすぎると好きじゃなくなるでしょう」には
ぐきっときました。
ありますよね、そーゆーの。
以前ロマンス小説が面白くて気に入ってずいぶん読んだのですが、
やがて飽きました。
今はラノベを読む機会が増えてますが、飽きないように気をつけないと。

講談社タイガ創刊ラインナップ4冊のなかで唯一続編の明記のない本書
(著者あとがきには“次回があれば”というニュアンス)ですが、
主人公のサークル仲間で年寄りラヴな巴崎笑麻さんがとても魅力的なキャラなので、
出来れば続きを書いていただいて活躍させてもらいたいです。

ちなみに表紙イラストは漫画家の志村貴子さん。
小説世界にとても合っていると思います。
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10/31|Book(青春・恋愛・ラブコメ)コメント(2)トラックバック(0)TOP↑
この記事にコメント
とても素直な気持ちにさせてもらえました。
男子なら一度は皆、綺麗なお姉さんに憧れた少年時代があったのでは。そんなあの頃の淡い恋心みたいなものを感じる素敵なお話でした。私も暗ヲさんに同じく続編を切望します。^_^
From: akifuyu102 * 2015/11/10 06:24 * URL * [Edit] *  top↑
>akifuyu102さん
おはようございます。早起きですねー(^O^)
綺麗なお姉さんは今でも憧れてるんですけどね、不思議なことにイメージの綺麗なお姉さんが年上じゃないんですよね。
そうですね、この作家さんの持ち味で、純粋な部分がこちらの素直な気持ちを引き出すのでしょうかねー。
続編出るとよいですよね(^O^)
From: 暗ヲ * 2015/11/10 06:40 * URL * [Edit] *  top↑
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