「うーちゃんの小箱」
和見俊樹著
角川スニーカー文庫
2016年発行

第二十回スニーカー大賞・優秀賞受賞作品です。

読み始めてしばらくして違和感がつきまといました。
ラノベらしくない!
イラストはラノベ的なそれだし、
女の子のお胸を触ってしまったり女の子と一緒に寝てしまったり、
なにより脇役の某編集者以外女性しか出てこないし、
ラノベ的なシチュエーションはあるのですが、
それが何かに発展することはありません。
ラブコメ的要素はほとんど見られないのです。
なんか今まで読んできたラノベと違います。
もちろんラノベはいろんな可能性を持っていますから、こんなラノベもいいでしょう。
でも、これは主人公たちが漫画家として、苦悩していく話です。
終幕において、それを突き抜けるとはいえ、
出口の見えない暗い青春模様のお話が淡々と流れていくといってよいです。
いってみれば青春小説と呼ぶべきでしょう。

高校生の氷見伊助はうーちゃんという女の子を主人公にした四コマ漫画を描いており、
それが出版社の審査員特別賞を受賞します。
彼は同級生の女の子のために一緒に文学部を設立したのですが、
もともと小説に興味があったわけでもなく、
その女の子が文学的才能を発揮していくのを見るにつれ、
小説から離れ漫画を描くようになったのです。
その後、受賞式で出会った、大賞を受賞した女の子、
天奈優衣の妹が家を訪ねてきて、彼女の提案でなぜか三人で一緒に住むことになります。
三人で生活しながら学校行く生活が始まりますが、肝腎の漫画は全然描けません。
そんななか、優衣やその妹、文学部のクラスメートや顧問の先生たちとの付き合いで、
いろんな出来事が起こり、彼も徐々に変わっていきます。

さて、主人公の心理描写が多く、派手な展開はありません。
ではつまらないかと云うと、実は面白いのです。
文章の置き方に個性的な光るものを感じたのと、
ときおり挿入される主人公が自分の漫画のヒロインであるうーちゃんと会話する、
妄想的なシーンがとても効いています。

うーちゃんの小箱…そう、うーちゃんの設定がすべてといってもよいのではないかと
思います。

著者もあとがきで述べてますが、ラノベ的ではありません。
しかしとても興味深い佳作でした。
この作者さんはラノベという枠にとらわれず、今後活躍できるような気がします。

もし続きが書かれるなら、主人公たちのその後にまた付き合ってみたいです。

あ、あと、この作品中に何度も出てくる綾辻行人の「十角館の殺人」。
このタイトル、ラノベの世界でもよく見かけるのだけど、
みんなこのミステリ好きなんだなあ。
と、初めて読んだときのことを思い起こすのでした。
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02/13|Book(青春・恋愛・ラブコメ)コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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