「彼方なる君の笑顔は鏡の向こう」
持崎湯葉著
講談社ラノベ文庫
2016年発行

ひとりの女の子のなかの三つの感情が実体化して大騒ぎというユニークな作品です。

兎下詩歌と音和彼方は幼なじみ。
学校では優等生で面倒見がよいと思われている女の子、彼方。しかし。
詩歌は一人暮らしだし彼方は両親の帰りが遅いので、
いつもふたりは詩歌の家で夕食を食べるのですが、作るのは詩歌。
彼方はふんぞりかえってゲームしたりテレビ見たり。
彼女の衣類の洗濯までこなす詩歌はまるで下男状態。
でも詩歌は彼方のことが好き好き~。

ある日、思い出のつまった神社が取り壊されると聞いて、
久しぶりに訪れるふたりですが、そこで発見した大きな鏡。
彼方はその鏡にうっかりぶつかってしまい、
鏡は三つにひび割れてしまいます。
なんとそこから現れた三人の女の子。
彼女らは鏡の付喪神で、彼方がぶつかったことで
三つにわかれて肉体化してしまったのです。
しかも三人の一人一人が彼方の別々の感情を宿しているという…。
ひとりは彼方の記憶を、ひとりは彼方の想いを、ひとりは彼方の食欲を。
そのかわり彼方からは詩歌との思い出が消えてしまいます。

とりあえず彼方のなかに三人を戻す方法がなく、
三人は詩歌と共同生活することになります。
しょっちゅうやってくる彼方も含めて、てんやわんやな日々、
やがてみんな詩歌のことが好きになっていき、争奪戦が…。

思い出したのが、大昔のドラマ「私という他人」です。
現実の症例をもとにしたドラマで、ヒロインが徐々に別の人格を宿すようになり、
やがて三重人格となります。
それぞれ表に出ようとする人格たちや周りの人間の葛藤が描かれました。

本ラノベは、いってみれば分離した人格がそれぞれ肉体を持って独立してしまったと
いえる話で、本来深刻になりがちなモチーフをラノベらしく面白おかしい作品に
作り上げている点、感心しました。

鏡の付喪神である三人の女の子がミラーマンみたく鏡の中を自由に移動できたり、
詩歌とのデートを賭けて料理対決したり、ラノベらしい展開に笑いながら、
一方でラノベの懐の広さと可能性を考えさせられました。

クライマックスからエンディングにかけては、ただただ感動。
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