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2017.03.12 (Sun)

憑きもどり


「憑きもどり」
明利英司著
さんが文庫
2017年発行

明利英司氏が「旧校舎は茜色の迷宮」でデビューする以前の作品が存在することは、
Amazonで「茜」と「僕の手紙」という二作を発見し知っておりましたが、
入手には至っておりませんでした。
本作はその「茜」の改題文庫化と思われます。
「茜」は2009年に発行されているので、明利氏若き日の小説といえますが、
内容はホラーミステリで、その後の氏のオカルト好きな作風は
すでに確立されていたようです。

本書はわりと短めな作品なので、あらすじも短く書きますね(笑

高校生長江美里が家庭教師をしている原田茜がある夜何者かに殺されます。
現場付近でその後起こる一連の通り魔事件と同一犯と思われますが、
茜の死体の側に残されたダイイングメッセージが事件を複雑にします。

…と短く書くと本格ミステリみたいですが、
事件のまわりには死者の霊的な存在が現れ、
読者の正面からの推理を難しくさせます。読み終わって、さわやかな印象を持ちました。
かなり悲惨な内容なのにそれを感じるのは、著者の持ち味のような気がします。
これは、今まで読んだ他の明利英司作品にも共通して感じたところです。

著者の若い時代の作品であり、殺害動機の弱さ等、
後年の、より熟した「旧校舎は茜色の迷宮」や「幽歴探偵アカイバラ」に比べると
気になる点もありますが、主人公美里と友人ふたりのやり取りのさわやかさが
なにより印象的な作品でした。
オカルトが関わる点、そしてこう表現してよいのか自信はないのですが、
清廉な文章が、現在の著者の特徴をすでに形作っているように思います。

なお、本作は映画化もされるようです。
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*Comment

いつもありがとうございます、という感謝の気持ちでいっぱいです。

「旧校舎は茜色の迷宮」や「幽歴探偵アカイバラ」に比べると……というような、しっかりした読みかたをしていただいて有り難いです。
そうなんですよ。まだ作家すら志してもいなかった19歳の時に書いた作品なので、確実に劣っているのです。
私自身も違和感があったのですが、昔の自分の実力や意思を全て消してしまうのも良くないかな、と思い、なるべくそのままにしました。

本日は久しぶりにゆっくりブログを拝見できてよかったです。

今後ともよろしくお願いします。
めいり |  2017.04.09(日) 22:36 |  URL |  【コメント編集】

>めいりさん
そりゃ、そのままがいいですよ。
昔の作品の文庫化でいっぱい改定される作家さんもいますが、古い方を持っていると、買い直すかどうか悩みますもの(笑
それと作品て単体で評価するのもよいですが、作家さんの年代における変化、成長、思想の変化、等々を追っていくのも楽しいですからね。
いや、こちらこそよろしくお願いいたします。
暗ヲ |  2017.04.09(日) 22:58 |  URL |  【コメント編集】

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