
「青春絶対つぶすマンな俺に救いはいらない。」
境田吉孝著
ガガガ文庫
2017年発行
ダメでクズな高校生狭山くん。
無気力な女子高生小野寺さん。
ふたりは藤崎という女の子に呼び出されます。
彼女は特別生徒相談室室長らしいのです。
中等部の生徒らしいのに、「救済する」が口癖の熱意に燃えた不思議な女の子。
そして狭山くんも小野寺さんも、
嫌々生徒の悩みを解決する手伝いをさせられるのでした。
屋上から飛び降りようとしてるイケメン先輩、
学校に出てこないで自宅で引きこもっているユーチューバー。
そんな生徒たちに仕方なく関わっていくのですが、この辺りはよくあるお助けもの。
たとえば「俺たちは空気が読めない」にも使われていた設定です。
しかし本書がユニークなのは、ダメ人間でもいいじゃん、という主人公の考え。
主人公がダメ人間ですからね。
だから救うようで救わなくて結果的にはそれでも救われて、みたいな話なのです。
「がんばればお前にはできる」とか「涙は心の汗だ」みたいな
青春ドラマみたいな熱血説得はありません。
違う意味での説得は、まああるんだけど。
最後主人公は小野寺さんの苦境にも立ち入って、
ラノベ的、青春もの的には想像しなかった終わり方をします。
350頁と長いし、主人公たちが恋におちいるシチュもなし、
エンターテインメント的な意味ではカタルシスがないお話なのだけど、
読み応えあり、感動もそこそこあり、なにより面白い作品でした。
お話が綺麗にまとまっちゃってるんで、一冊ものでよいように思うのですが、
あとがきには二巻を出したい由書かれてるので、売れ行きによるでしょうが、
続くようならまた読みたいと思うのです。
ちなみに相田レイ子ちゃんというキャラがとってもよいので、
続く場合はぜひもっと活躍させてほしいのです。
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