FC2ブログ

「小説の神様 あなたを読む物語(上)」
相沢沙呼著
講談社タイガ
2018年発行

「小説の神様」(→コチラ)のまさかの続編です。
いや、なにしろ2年前の作品だし、お話もまとまって完結していたので、
続くとは思っていなかった(笑

文章は書けるが、物語を作れなくなっている千谷一也と、
物語は作れるが文章の書けない小余綾詩凪は高校生作家同士でクラスメイト。
そんなふたりは編集者の勧めで合作することになり、作品が出版されました。
今回はその続編のお話。
続編―なかなか進みません。
詩凪は完結した作品に続編を書く意義があるのかと悩みます。
そんななか一也には短編執筆のオファーが舞い込みますが、
合作のスケジュールを考え悩むのでした。
一方、彼らの文芸部の後輩である成瀬秋乃は、
中学時代の友人で小説を書いていた真中葉子と再会することになりますが―。

続編に意義はあるのか?
物語は人の心を動かすのか?

前作「小説の神様」は作者自身の葛藤を登場人物に投影した作品のように
思いましたが、本作も久々に続編を書くことになった作者自身の
自問自答的な要素を含んでいるように感じます。
したがって、本作で悩み抜く主人公たちは、
そのまま作者の分身と言ってもよいかと思うのです。

ところで、本作のある登場人物が、
本の売れる売れないは運だと発言する場面があります。
ミもフタもない言い方のようですが、実は説得力があると思います。

かつての角川商法。
角川春樹氏が率いていた時代の角川書店では、
自社で出版しているエンタメ作品の映画化を行い、
それに合わせて割引券がわりの栞を文庫本にはさんだり、
盛大にテレビコマーシャルを流したり、
自社の本や映画を宣伝するための雑誌「バラエティ」誌を発行したり、
イケイケドンドンやりたい放題でしたが、それが大いなる成果を生みました。
しかしそれはバブルの時代だからこその宣伝方法で、出版不況激しい現在では、
どの出版社もいまや同じようなやり方は不可能でしょう。
売れないからこそ出版点数が増えるスパイラルのなか、
それぞれの本が手に取られる可能性はかなり少ないと思えるので、
運の要素は大きいのではないのでしょうか。

Twitterで話題になっていたり、アイドルが偶然読んでツイートしたりすることで
話題を呼ぶことはありますが、それも含めて、
運的要素が売れ行きを左右するような気がします。

わたしも面白かったラノベが一巻で打ち切りになるのをみるたびに、
内容の優劣ではなく、人が手に取るための求心力が足りなかったんだなあと
想像したものです。

本作では違法漫画サイトの問題や読者の小説へのつきあい方の変容にまで話を広げ、
読書好きにとって、知ってはいるんだけど、
改めてせつなくなるストーリー展開ではあります。

登場人物も作者もどんな結論を出すのか。
メタミステリよろしく物語の当事者にされた読者の立場としては、
下巻を読むのが楽しみで、同時に怖いのです。
関連記事
スポンサーサイト

08/20|Book(青春・恋愛・ラブコメ)コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
この記事にコメント
名前:
コメントタイトル:
メールアドレス:
URL:
コメント:

パスワード:
管理人だけに表示:
管理者にだけ表示を許可
この記事にトラックバック
プロフィール

暗ヲ

Author:暗ヲ
にゃにゃにゃにゃにゃ♪

最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
最新トラックバック
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム